studio Odyssey



二次会、再会、プロ北ツアー!



 前回までのあらすじと、お詫びとお願い。

 今日も今日とてプロンテラベンチ。
 スピット、イタ、アブドゥーグの3人は今日はいったいどんな冒険をしようかとたくらんでいました。そんなおり…
「今、イブに似た子見た!」
 と、アブ。
 スピットの幼なじみ、イブリンこと、イブ。なんと彼女もまた、スピットたちの後を追って旅出ったのでした。
 スピットは一通の手紙を持っていました。イブからの手紙です。
 そしてそこには、「プロンテラから、フェイヨンへと向かう、森の中にいます」との一文。
 スピットたちは大慌てです。
「イブを捕まえに行くぞ!」

「試練の森に挑ませるために!」

 息巻いてイブを捕まえ、彼女にアコライトを勧めるスピットたち。
 けれどイブの意志は固く、彼女ははれてアーチャーへと転職を果たしたのでした。

「さて、それじゃ、経験値稼ぎがてら、プロンテラにでも帰ろうか」
 そんな事をスピットが言ったときです。
 彼に電波通信が届きました。
「こんにちは、すぴさん」
「あっ!」

 その声は、懐かしのKさんの声でした。Kさんは言います。
「これから、僕の友達の結婚式の二次会があるんですけど、すぴさんたちも参加しますか?」
「いかいでか!」

「じゃ、現地集合で」
「了解!」

「いくぞ、みんな」

「どこへ?」

「プロ北ダンジョン!!」
「マテ!!」



 そんなわけで、転職したてのイブをつれ、スピットたち一行はプロンテラへと戻ります。*1

二次会、再会、プロ北ツアー!


luvas:「ちす!

 プロンテラ城入り口前にラバが姿を現しました。
集合
 全員集合です。

spit:「行くぞ!

 スピット、ノリノリです。

 どう考えても分不相応な自殺ツアーでしかないのですが。

 プロンテラ城を抜けて、プロンテラ北へと抜けます。
 途中、プロンテラ場内で人だかりを見つけました。どうやら、ここで結婚式を行っていたようです。*2

 とにもかくにも、プロンテラ北。

 スピットたちはダンジョン前にやってきました。*3

 人垣があります。
 スピットたちはきょろきょろと辺りを見回しました。
 懐かしい声が、スピットたちを呼びます。

「あ、お久しぶりです!」

Kさん!
spit:「Kさん!!

 凛々しい剣士のお姿です。
 スピットたちの知っているKさんよりも、ひとまわりもふたまわりも大きく見えます。


K-9999:「よく来てくれましたー。

spit:当然です!

ita:「再び、自殺ツアーって感じですけど。
luvas:「まぁ。

K-9999:「あ、パスくん?

お友達?
 Kさんは人垣の中の誰かを呼びました。
 一人のシーフが顔を上げます。

K-9999:「ちょっとこっち来て。

spit:「Kさんの仲間かな。
 スピットはみんなに耳打ちしました。


 Kさんはスピットたちに近寄ってきたシーフを紹介します。
K-9999:「パスくんです。
パス:「はじめましてー。

「はじめましてー」
 スピットたちも返します。

spit:「あ、じゃあこっちも紹介しておかないといけないですね。
 スピットはそう言って、イブの隣に立ちました。


spit:「さっき、アチャギルドで拾った、イブです。
luvas:「拾ったんだ。

eve:「evelinです。こんにちわ。

K-9999:「こんにちわ。



 そしてスピットたちはその場所に車座に座り込み、新郎新婦が来るまでの間、話していました。
再会を祝して
 スピットはパスさんに言います。
spit:「Kさんとは、一緒に下水自殺ツアーをした仲なんですよ。

ita:「同じくです。
パス:「なるほどです。

Abd:「じゃ、また下水に。
spit:「またかい!

K-9999:「あはは、でもおかげさまで…



K-9999:「今は金ゴキ相手にMVP取れるくらいにまで成長しました。


スピット側、みんな: ii゜п゜)

 スピットチーム。
 誰か、金ゴキ相手にMVP取れる人はいますか?

 いるわけないです。*4
Abd:「ホントに護ってもらえる♪

K-9999:「何言ってるんですかー。


 いえ、Kさん。

 マジです。


spit:「ところで?

 旗色が悪くなったスピット。
 話題を変えます。

spit:「今回の結婚式は、どなたとどなたが?

 っていうか、知らずにここまで来たのかよ!?*5

 Kさんが教えてくれます。


K-9999:「えっと、remoteさんという方と、"hayate"さんという方です。

 ちょうどそのとき、新郎新婦さんがプロ北にやってきました。

 新郎、"hayate"さんはプロ北に集まっていた皆を見て、新婦、remoteさんに言いました。

"hayate":「remoteさんのパーティって…個性派揃いですね…ははは。
remote:「あぅ…。

 個性派ぞろい。
 実は、スピットもそう思っていました。

 パスさんが、聞いていました。その方は、一生懸命、何かを食べていたのです。新郎新婦が来るのを待つ、間。  そして今、新郎新婦が到着し…

「食べ終わりましたか?」

「!?」
 実は、今初めて新郎新婦の登場に気づいたようです。
 その方はちょっと考える風な間の後、言いました。

「え〜と…食いながら、突貫するです」

spit:「(片手間にプロ北!?

「なるほどー」
 って、パスさん、納得。

ita:「すげぇ…


「さーて、二次会!どっきり、蛇ハエだらけのプロ北ツアー!

luvas:「かなりイヤなタイトルだ。

「敵が寄ってくるかもしれないですから、こぼさないでくださいね?」
「おぐぁ!固い!かたいぞ、これ!」

eve:「ってゆーか、あれ、パン…

「時間がたったフランスパンかー」
「でも、なんでも食べる」
「(もぐもぐ)
「容赦なく固いですな」
「ですねー」
「殴ったら痛いね」
「殴る!?痛いというか、脳天かち割れますがな!」
「口に入れたまましゃべらない〜!」
「やっぱタマゴと牛乳につけて、一晩おきましょう」

Abd:「置くと、どうなるんだろう…
spit:「なんか、味的にはともかく、絵的にはイヤイヤだ。牛乳と卵に一晩なんて…
eve:「おなか壊しそう…

「それがいいなぁ〜」

spit:Abd:eve:(いいんだ!?

"hayate":「remoteさんのパーティって…個性派揃いですね…ははは。
remote:「あぅ…。

 remoteさんは言いました。
remote:「パーティっていうか…


remote:パーティじゃないです。


みんな:ii゜д゜)


K-9999:「あー…

 Kさんはため息混じりに言いました。


K-9999:「紹介のタイミングを逃しました…

 個性派揃いのパーティに、スピットたちも笑います。
spit:「後ろから、こそこそついていきますよ。
K-9999:「いや、どうどうとどうぞ。

ita:「だいたい、モンハウ入ったら前後ろ、意味ねーし。

spit:「それもある。*6


「さて」

 剣士さんが言いました。

すばらしい

Abd:「我々のためにあるような言葉ですね。

spit:「賭けようか。


spit:誰が最初に逝くか。


 決まってます。


eve:「?




 昼なお暗い、深い森。
 その奥の、そのまた奥。

 プロンテラの北に広がる森の奥に、そのダンジョンはありました。
 プロンテラ北ダンジョン。

 凶悪な魔物の住まう森。
 この世界と、そしてもう一つの世界との境が、ミドカルドでもっとも希薄な場所。

 多くの冒険者たちがこのダンジョンの最奥に挑み、そして倒れ、伝え聞こえるのは、恐怖の伝説ばかり。
 スピットはごくりとつばを飲みました。

 一度だけ、兄に聞いた事があります。


「まぁ、少なくともおまえなら、瞬殺を通り越してミリセク死だな」*7

 うっそうとした森の下地を不気味に照らす陽光に、スピットは額の汗をぬぐいました。
eve:「わー、すごいねぇ」

 のんきな声が聞こえます。

spit:「…
ita:「蛇とハエさえなんとかなれば、平気だろ。

spit:「なんとかって、どういう風にだ?


 入り口に、「蛇ハエだらけのプロ北ツアー!」の面々が集まっています。
集まり中

 そのときです!



 ぶーん。


spit:;゜д゜)

 何かが、スピットの近くを走り抜けました。

 そう、赤い、何かが!
ita:「シャア!?*8
 イタが叫びます。
 すさまじい勢いで通り抜けていった、その赤いハエのモンスターをスピットは視線で追います。
 その赤い彗星の向かう先には、アコライトの女性がいました。

「まずい!」
 皆が走り寄ります。スピットも魔法の詠唱に入ろうと、構えます。

spit:「!?

 瞬殺です。

「第一の犠牲者かァ!?」


 被害を最小限に食い止めようと、剣士さんたちが剣を振るい、ハエを退治しました。
 しかし、そこには倒れたアコライトの女性がひとり…

luvas:「恐ろしい場所だ…

spit:「先を急いだ方がいいか…

「死んだかと思ったー」

spit:!?

 アコライトの女性が復活してました。

ita:「しまったぁ!

 イタが叫びます。

ita:イグ葉持ってくればよかったー!*9


「いきますよー」

 そして一行は進みます。

 先頭を行く、剣士さん、そして続く…
spit:「マテ!イブ!?

luvas:「怖いものはないのか…

 スピットたちもあわてて追います。
eve:「すごい戦闘だ…

 イブからの電波が届きました。

 スピットはイブに追いつきます。
 剣士、シーフが進むべき道の前にいた蛇、サイドワインダーに攻撃を仕掛けています。
spit:「手伝います!

 アークワンドを振るい、スピット。
spit:「ネイパーム、ビート!!

 滅多に使わない、速攻魔法です。漏電雷魔導士的には雷魔法でしょうが、そんなこと言ってられません。

 なぜなら、一瞬の隙が死を招くから。


 しかし、
spit:「…非力だ。


 いくら連射しても、かすり傷程度…*10
 スピットは遠い目をして言いました。

spit:「修行が足りないな…ふ。

ita:「大丈夫。


ita:「うちら、みんなそうだから。


 ダメだろ。


spit:「ライトニングボルトなんか、唱えているうちに、死んでるんだろうな。
役立たずのお荷物ども

 しかし、一行は進みます。

 新郎、"hayate"さんは元気です。
"hayate":「新婚カップル参上!
 remoteさんは笑ってます。


spit:「男の子は強くなきゃだめかナァ…?


eve:「じゃあ、みんなダメだ。

 てくてくとイブは進んでいきます。*11


 奥へと進むと、開けたところに出ました。

「到着しました」
 先行していた剣士さんが言います。

"hayate":「おや?
K-9999:「なんか…
"hayate":「違ったフィールドだな。
ita:「ひろいな。


「犠牲者は?」

spit:「奇跡的にありません。
eve:「?

「さて…」
 先行する剣士さんが、一行の前に架かる橋の前に立ち止まって、言いました。

プロ北にかかる橋

「この橋の先が…」


どーん!

K-9999:「!
「この先か!」
「熊が出るぞ!」
「…はちみつくまさん」
「!?」
「熊!? 焼き肉パーティ!」
"hayate":「くまうまー?
パス:「(汗
「ガタガタ」
「コワヒ」

eve:わくわく。


 マテ!



K-9999:「逝ってやろうじゃないか!


 いい言葉です。


"hayate":「えーと…

 橋を渡ろうとする皆に向かって、新郎"hayate"さんが言いました。

"hayate":「逝きましょう。(笑)


 いい言葉です。






 スピットたちも橋を渡ります。

 イブは怖いものがないのか、先行する剣士さんたちについて、てくてく…


spit:「…

spit:「ぱか。


 イブ…
 スピットが追いついた時には、死んでました…

 ミリセク死でした。

 スピットの目に、攻撃されるイブが映りました。スピットはすぐさま、マイトスタッフに持ち替えました。「魔法を詠唱している暇はない!とりあえずは叩かなければ!!そうすれば、シーフや剣士さんたちも来てくれる!!」

 この間、0.3秒。

 その後、イブが死ぬまで0.1秒。


spit:「…

 スピットはイブを助けるために戦い、ぼろぼろになりながら、言いました。


spit:ばか。*12



パス:「うああ。間に合いませんでしたかー。

luvas:「…まぁ。
Abd:「…言っておかなければならないですね。
spit:「…だな。

 ぼろぼろになりながら、スピットたちは言いました。


spit:Abd:luvas:「イブ、実はレベル1。

パス:ii゜д゜)


spit:「さあ、逝きましょう。

 スピットはふっと笑います。

 こんな事を言ってはなんですが、スピットは実はちょっとほっとしてました。
 イブが倒れた今、スピットはもう彼女の心配をする必要はありません。自分の事だけ、守っていればなんとかなるからです。


 なぜならもはや、自分が最弱だから。




 一行はさらに奥へと進みます。
 どうやら"hayate"さん、remoteさんの新郎新婦。
 先行していた剣士さん、それにKさん、イタは先に行ってしまったらしいです。

 スピットたちは、あわてて後を追います。

 そうです。


 本体と離れることは、すなわち死を…

 茶色いそれが、見えました。
spit:「!?

 すさまじい勢いで、スピットの方へとそれが口を開けて迫ってきます。
luvas:「スピット!?

 ラバが動きます。
Abd:「ち!
 アブも動きます。

 スピットに迫る敵は、サイドワインダー!

 スピットは杖を構えました。「サイドワインダー!? ヤツは攻撃速度が速い。RBなんか唱えている隙にやられてしまう!速攻魔法…SS…いや、SP消費が激しい。NB連打で…ヤツの属性は念属性じゃねぇだろうな!ええい、ままよ!!」


 この間、0.6秒。
 アークワンドを振り上げ、

spit:「ネイパ…ぶッ!?

ミリセク死
 ミリセク死。

 助けに来たラバもアブも巻き込んで、ミリセク死。

 あまりにあっけない幕切れでした。



 スピットは電波をとばしました。

spit:「イタ〜?

ita:「なんだよ、速くこーい。

spit:「いえ、死にました。


ita:「…


ita:速すぎだ!!

spit:「ベンチで待ってるよ〜。
luvas:「俺たちの分まで、がんばってくれ。
Abd:「新郎新婦さんに、よろしくー。


ita:「マテヤ、ゴルァ!!

spit:「Kさん、うちの主力を差し上げますぅ〜。


K-9999:「(w




 そしてプロンテラベンチ。
プロンテラベンチ
spit:「あれ、イブ。すねてるの?
luvas:「さぁ?
Abd:「レベル1の場所じゃなかったからねー。



 スピットたちはプロンテラベンチでプロ北で戦い続けるKさん、イタから電波を受け取りながら、イブのレベルアップにつきあいます。

K-9999:「うあ!
 Kさんから、電波です。

spit:「どうしました?
K-9999:「新郎さんが消えたというのウワサ…

spit:「マジですか!?

ita:「やべぇ!
Abd:「どうしました!?

ita:「…

K-9999:「ああっ!? イタさんが!!
spit:「どうしました?

K-9999:死んだ…
spit:「イタ、死亡〜。

ita:「あ…
K-9999:「あ…

spit:「?

ita:Kさんも、死んだ〜。

spit:「Kさん、死亡〜。
luvas:「次々と倒れていく…
Abd:「大変ですねぇ。


ita:K-9999:「おおっ!?

spit:「今度はどうした?


ita:K-9999:全員復活!!


ita:「これぞ、イグ葉の力!!
K-9999:「大量に持ってるっぽいです。(w;

ita:「第二ラウンド! うおおぉぉお〜!!
K-9999:「逝ってきます。(w;


spit:「逝ってらっしゃいませ。(w

 電波の向こうに、剣戟の音が聞こえていました。



 小一時間ばかりたったでしょうか…

 itaから、電波が届きました。

ita:「ソロモンよ!私は…

spit:「?


ita:私は帰ってきた!


spit:死んでだけどな。

ita:「新郎新婦も一緒だよ。(w

spit:「あ、そうなの?

spit:「じゃ、俺もプロンテラに戻るわ。
ita:「今、どこにいるの?

spit:「ああ、気にするな。

 イタの耳に、スピットの声が聞こえてきました。「サンダーストーム!!」

ita:オマエも死に戻るのか。


 そして、プロンテラ西門近く。

 イタ、新郎新婦、ダンジョンを先行していた剣士さんたちの姿が見えました。

新郎さんの左隣にいらっしゃるのが、新婦さん
 スピットは談笑の輪の中に入ります。


 "hayate"さんが言いました。
"hayate":「パーティで探索ってのも、なかなか楽しいね。
remote:「みなさん、素敵♪

ita:「ウチのパーティは、みんな瞬殺されてましたが。ね?
spit:「なんだよぅ。

 "hayate"さんは言います。
「普段、ソロでばっかりやってるから、新鮮だったよ」
 剣士さんが続きます。
「たしかに」
 もう一人の剣士さんも続きます。
「無理をするってのもよいね」
「大勢で騒いで楽しかったな」
 remoteさんが笑います。
「ですね」
 続くのはイタです。
「でも、無理をするのはたまにはってくらいで」
 苦笑です。アチャさんも、苦笑しながら言います。
「でも、ボクは足手まといだったよ〜」
「いえいえ」
 剣士さんが首をふると、"hayate"さんも首を振りながら言いました。
「いやぁ…」
 その言葉に続いたのは、remoteさんでした。

「戦力です♪」
「そうそう。戦力」
「一人の力でも、みんなの中では、戦力です♪」
「そうそう」
「そうかなぁ?」

「それにああやって打てば、それで敵がいるって反応できるからな」
「そう」
 剣士さんが言います。
「俺もとりあえず突っ込んで、蛇とハエを引きつけないとーとか思ったけどね。他に行ったら、死ぬだろうし」
「たしかに」
「…って、俺も死ぬんだけどね」
「盾剣士!」
 プロンテラの空に、みんなの笑い声が響きました。

「しかし…」

 "hayate"さんは車座になって座るみんなの頭の上、その、プロンテラの青い空を見上げて、軽く言いました。
「しかし、お互い支え合うと、あんなところまで行けるんだね」
 ミドカルドでもっとも凶悪なモンスターたちが住まう場所。
 プロンテラ北ダンジョン。

 誰も、分不相応な冒険でした。

 でも…

 笑う風なその言葉に、誰かも、軽く笑う風にして返しました。

「一人の力は…?」
「そうだね、一人の力は…」


 そう言って笑った"hayate"さんのその言葉に、今日、結婚式を挙げた"hayate"さんのその言葉に、なんとなくスピットも笑って、プロンテラの空を見上げていました。




 誰かが言います。
「じゃあ、また今度プロ北行くかい?みんなで」
 "hayate"さんは即座に返しました。

「いや、プロ北はしばらくの間、いい」
「あたしもです」
 苦笑しながら、remoteさんも言いました。






「さてと…」

 スピットはゆっくりと立ち上がります。
「イタ、いこっか?」
「お。行くか」
 立ち上がったスピットに、イタもゆっくりと立ち上がりました。

 スピットは言います。

「それでは、"hayate"さん、remoteさん、みなさん。そろそろ失礼します」
「あ、どうも」
「"hayate"さん、remoteさん、どうぞ、お幸せに」
「ありがとう」
「ありがとうございます」

「ベンチに戻るの?」
 イタが聞きました。
「当然」
 スピットは返しました。
 そして、車座になって座る、そのパーティの皆に向かって、言いました。

「僕らも、いつものたまり場で、他の連中が待ってるんで、行きますわ」


「はい」

おふたり、おしあわせに


 ミドカルドは、広大です。

 何処までも何処までも、果てしなく大地は続きます。

 たとえプロンテラだけだとしても、とってもとっても、広いです。



 でも、スピットはいつもの場所へ。
 別れの挨拶をして、向かいました。


「また、なんかあったら、呼んでください」
 ミドカルドの大地を、冒険し続ける限り。

「そのときは」

「また、一緒に冒険、しましょう」








プロンテラベンチ
 そしてプロンテラベンチ。
「うーい、おまたせー」

「おせーよ!」
「どこ行ったのかと思いましたよ」
「ワリィね、ちょっと、楽しくお話してきたのさー」
「なんだそりゃー!」
「ナンパですかっ!?」
「チガウ」
「へー、スピット、ナンパしてたんだ。へー」
「チガウ!」

 プロンテラベンチに、いつもの声が響きます。
 スピットと、そして仲間たちの。



*13

*1 そんなわけで、スピットたちは二次会に参加。
 この結婚式、本当はプロンテラの大聖堂で行われていたそうです。スピットたちはお話の中で、間違った結婚式の目撃をしています。まぁ、文章的におもしろいので、ちょっとこの辺はご容赦くださいませ。本当は、プロンテラの大聖堂です。で、新郎は"hayate"さん。新婦はremoteさん。
 ああっ、結婚式、参加したかった!(スピットたちは結婚式に参加したことがありません)
 で、もひとつお詫び。
 すんません、参加したの、二次会からなんで、二次会のお話です。"hayate"さん、基本スキル8レベルでスピットをねらわないでください。マヂで。(基本スキル8レベルはPKスキル。つまるところ、他のプレイヤーを倒すスキル)
 あと、日記の更新遅れまくったことも。
*2 スクリーンショットはありません。はじめ、何の集まりだか知りませんでしたので。
 後から知ったのですよ。(二次会、プロ北とか言ってたし)
*3 何故迷子にならないか。
 実はこの森、スピットはとても詳しかったりする。スピットの兄がよくここの話をしていたからだ。
*4 MVP。ボス戦において、もっともダメージを受け、もっともダメージを与えた人に贈られる称号。レアアイテムが手に入ったり、経験値を多めにもらえたりする。当然、もっともダメージを受けて、もっともダメージを与えた人がもらえるため、必然的に一番はじめに攻撃をして、生き延びた人と言うことになる。(モンスターは攻撃をした人を攻撃するので)
 スピットたちの場合、一番はじめに攻撃することは可能だが、生き延びられないので、MVPは取れない。(死んだらダメなのは当たり前)
*5 すんません。マジで。
*6 モンハウ。モンスターハウスの略。モンスターが一カ所にすし詰め状態に大量発生する状態のこと。
 囲まれるので、前も後ろも関係ない。
*7 ミリ秒。1秒の1/100。一瞬とどっちが早いかは謎だが、Ragnarokのフレームは1フレーム50msなので、1フレームに収まらない一瞬の出来事なら、ミリセク。
*8 通常の3倍。赤い彗星の異名をとる、プロ北名物の、ハエ。
 ザコキャラの中でも最強の部類に入る。
*9 イグドラシルの葉。ドラクエ的に言うと、世界樹の葉。死んだ人をよみがえらせることが出来る。
 Ragnarok Onlineβ版では、ずーっと使えないアイテム(バグの関係)だったが、実はこの日から、使えるようになった。
 準備いいです。みなさん。
*10 サイドワインダー。蛇。ザコキャラの中で最強の部類に入る。
 攻撃速度が恐ろしく速く、その速度は前出のシャアに並ぶ。
 「蛇ハエだらけのプロ北ツアー!」の、蛇とハエが、つまりこの2匹。
*11 スクリーンショットが少ないのは何故か。
 そんな余裕はなかったからです。何時死ぬか、何時死ぬか。
 妙な汗をワキにかきました。
*12 スクリーンショットが…もぅ、必死なのですよ。
*13 最後に。
 ものすごーく日記が遅れました。ごめんなさいっ!楽しみにしていらしたら、マジ、ごめんなさい!
 でも、一所懸命作りました。長くなっちゃいました。
 Kさん、今回はどうもありがとう!
 そして"hayate"さん、remoteさん、お名前出しのOK、ありがとうございます。
 どうぞおしあわせに!
 スピットもプロ北はしばらくはいいです…