前回までのあらすじ
ついにスピットは雷魔法、ライトニングボルトを極めたのでした。
もうこれ以上、この魔法のレベルがあがることはありません。
スピットは小躍りです。
うれしくて仕方ありません。
スピットははやく、自分の最強の魔法の威力を試してみたいのでした。
みんなの位置を電波に確認すると、皆は鍛錬のためにプロンテラ地下水道、通称下水に潜っているようでした。
スピットはにやりと笑います。
spit:「決めた…
luvas:「なにが?
spit:「ふははははははは!
というわけで、いざ、スピットは下水へと向かいます。
舌の根が乾く乾かないはともかく、スピットは下水を進みます。
意気揚々。
もはや、下水の敵など、敵ではありません。
spit:「
ライトニング、ボルトっ
威力調節を覚えたスピットの前に、カエルもキノコもゴキブリも、ばったばったと倒されていきます。
*1
さて、そして下水最下層。
いきなりやってます。
乱戦の中にはラバとアブもいます。
いきなり唱えるは最強魔法、
ライトニングボルト、Lv10。
見てはいけない数値を見た気がします。
しかし、これだけの人数で袋だたき。
さすがのボス、金ゴキこと黄金虫も、長持ちは出来ません。
みんなの攻撃の前にボス、黄金虫は破れました。
スピットたちの後ろにいたアーチャーさんの頭の上で、くす玉が割れます。
みんなから、声があがりました。
「おめ〜」
spit:「っていうか、FA、アチャさん!?
Abd:「強いアチャですねぇ。
*2
なんて感心していた、スピットとアブ。
しかし、人垣が消えていくと、そこに…
spit:「
ああっ!?
アブが今さっき拾った花を、彼女の横に置いていました。
その時です。
ラウンド、2!*3
spit:「間隔、短すぎ!!
Abd:「誰か、来てくださいー!!
luvas:「うおぉぉぉお!
もう、スピットもLv10がどうとか、いってられません。
当然です。
もはや、SPは底をついています。
spit:「ふんぬー!
殴ります。
ただひたすらに、殴ります。
ってか、
なんでオマエら
最前線にいるんだよ。
程なくして…
誰かの頭の上でくす玉が割れました。
MVPを取った剣士さんに、みんながお祝いの言葉を述べています。
同じようにお祝いの言葉を言いながらも、スピットたちはその場でしばらく人垣がなくなるのを待っていました。
spit:「…ええと。
Abd:「はい…
spit:「
あああっ!? やっぱり!!
助けられませんでした。
剣士さんとアチャさんが成仏したのを見届けて、スピットたちはその場を離れます。
そういえば、イタもここにいるはずです。
スピットは電波を使って、イタにどこにいるのかを聞こうとしました。
そのときです。
スピットの頭の中に、電波が飛んできました。
「こんにちは、スピットくん」
spit:「そ、その声は…
spit:「"hayate"さん!!
先日、あの結婚式二次会で知り合った、"hayate"さんです。
*4
スピットは返します。
spit:「今、仲間と一緒に下水にいるんですよー。
"hayate":「金ゴキとバトルですか〜?
もしかして、
見えてますか?
スピットは苦笑いに返します。
spit:「ライトニングボルトがついにLv10になったので、力試しですー。
いや、力試しは十分に力不足と証明された気も…
"hayate"さんは軽く笑いながら、言いました。
"hayate":「死にましたか?
spit:「残念ながら、生きてます。
"hayate":「ち。役たたずどもめ。
spit:「
はい?
あの…え?
"hayate":「待っていろ。
"hayate":「くくく。
spit:「
はい?
電波の向こうで、"hayate"さんが周りにいるらしい仲間たちに言っている声が聞こえました。
"hayate":「よし!今から、あのプロ北ツアーでお世話になったスピットくん一行に、
お礼参りに行くぞ!
spit:「
;゜д゜)Σ
何か今、
とってもステキな響きのお言葉が聞こえた気がします。
spit:「ガクガクガクガクガク…
Abd:「どうしました?
spit:「"hayate"さんが、"hayate"さんが、"hayate"さんが…
電波が途切れました。
駆け出すような、"hayate"さんたちの足音を残して。
スピットは叫びました。
spit:「
総員退艦!!
意味が分かりません。
luvas:「イタは?
spit:「即時、回収!!
スピットたちは走ります。
下水最下層を走り、イタを探します。探して、探して、「いた!」
spit:「
逃げんなー!
そしてなんとかイタを回収(?)し、スピットたち一行は最下層、出入り口へと向かいました。
しかし、そのときです。
"hayate":「spitくんはいるかー!
3階から、3人が駆け下りてきました。
spit:「
ii≧д≦)
"hayate":「
死んでたら返事しろー!
どうやって!?
しかしもう、何がなにやらです。
"hayate":「さて、スピットくん。
"hayate"さんは言います。
spit:「がくがくがくがく…
"hayate":「なんでも、金ゴキと戦っているそうで。
spit:「た、戦ってます。
"hayate":「で、
死ぬ。と。
まだ生きてますが、結果はむしろ明白です。
"hayate":「と、言うわけで。
"hayate"さんはパーティのメンバーに向き直りました。剣士さんが返します。
Ridgel:「金が出たら殴れば宜しいので?
"hayate":「うむ。
"hayate":「今回の目的は…
"hayate"さんは言いました。
"hayate":「自殺衝動が強いスピットくんの
金ゴキ自殺阻止なので。OK?
spit:「
;゜д゜)Σ
何時の間にそんな話になったのかは謎ですが、まぁ、
十中八九は正解な気もします。
スピットはそんな"hayate"さんの言葉に、ぷるぶると震えながら、いいました。
spit:「死んでやるー!
いや、
そういう話の展開じゃないだろ。
Ridgel:「青春の暴走。
剣士さんは笑いました。
さて、そんなこんなでスピットは金ゴキに戦いを挑み、立派に散ってみせるために。
かたや、そのスピットを死なせるものかと"hayate"さんたち。
今、プロンテラ地下水道に、二組のパーティが走り出します。
spit:「逝ってやる!
"hayate":「逝けばわかるさ!
いや、進むべき方向、
間違ってます。
まずは金ゴキを先に見つけたのは…
Abd:「はっけん!
スピットチーム。
走ります。アブの位置に、スピットは走ります。
Abd:「あ、終わった。
spit:「って、無駄足ィー!!
ita:「じゃ、また他のところででるね。
spit:「そうなの?
ita:「下水のどこかに、必ず出てるんだよ。
spit:「よし、探すぞ。
その時です。
スピットたちの後ろにいた剣士さんが言いました。
Ridgel:「ハヤテ、金と遭遇した模様。
spit:「倒されてたまるかー!
スピットたちは走ります。
しかし…
spit:「しかも、MVP取ってるし!
"hayate":「阻止。
ita:「ハヤテさん、ちなみにレベルはいくつですか?
"hayate":「レベル?レベルですか?
"hayate":「レベル
50っす。
spit一行:「
(≡п≡;
spit:「自殺願望が阻止されたー。
"hayate":「よっしゃー。ならば、引続き…
tama.:「金に突撃ですか。
spit:「死んでやる。
ita:「自殺するなら、FAとらないと。
spit:「RBイッパツ打てれば、FAとれる!
Ridgel:「自殺なの?
"hayate":「させない。我々は暴走する若者、スピットの更正にあたる!
spit:「負けるものカー!
"hayate":「させるものか!!
"hayate":「
remoteさんは俺のものだ!*5
Ridgel:「関係無いだろ。それは。
ita:「…
tama.:「奪って欲しいの?
spit:「ヌ。
"hayate":「のろけたっかんだよ。
spit:「きー!
Ridgel:「金は何処じゃ〜。
spit:「前を逝かねば…
"hayate":「死なせはせん、死なせはせんぞー!
そして…
spit:「うらー!
ita:「ラグがー!!
Ridgel:「いつものことー。
"hayate":「誰だよ、俺の尻さわったの?
luvas:「乱戦でわかりません!
spit:「レベル、てーん!
しかし、さすがはレベル50台の"hayate"さん一行。
最も弱いボスキャラの金ゴキなんて、敵ではありません。
易々と金ゴキを片づけてしまい…
ここまでスピットを突き動かすものはなんでしょう。
っていうか、そもそも、
目的が変わってる気もします。
しかし、男の子の
意地です。
spit:「ここで引いたら、負けだっ!
spit:「remoteさんのようなお嫁さんを貰うためにも、負けられない!
何かが
チガウ。
spit:「次で死ぬ!
"hayate":「FA狙いか!?
Ridgel:「やる気だ!!
spit:「マズはみつけなければ。一番に。
そしてスピット…
ita:「ってゆーか、今、金じゃなくて緑に殺されてなかった?
金ゴキの乱戦に飛び込んだスピット。
死にはしたものの、どうやら乱戦に紛れ込んできた、緑ゴキブリにやられたようで…
spit:「む、無念…
そのときです。
spit:「あれ?
通りすがりの剣士さんに、復活させて貰いました。
ita:「…
Abd:「…
luvas:「さーて、次はどこに出るんだー?
spit:「次こそちゃんと、
死んでやる!*6
再び、スピットたちは下水を走ります。
そして、ついに…
それを見つけたのは、ラバでした。
luvas:「いたわ。
"hayate"さんはまだ来てません。
ita:「いた!
金色のそれは、下水のコンクリートの上を素早く移動していました。
Abd:「いるいる。
ita:「どうする?
スピットもみんなのところにたどり着きました。
スピットの後ろには、"hayate"さんのパーティの剣士さん、商人さんがついています。
スピットは言いました。
アークワンドを掲げ、そしてまっすぐに黄金虫を見据えて。
spit:「よし!
杖を振るいます。
spit:「俺は死ぬぞ!
スピットは素早く呪文を唱えます。
唱える呪文は…そう。
spit:「天に満ちる数多の精霊たちよ…今こそ我が命に従い、敵をうち砕け!!
spit:「ライトニングボルト、Lv10!!
走り抜けた雷が、黄金虫を襲います。
その電撃が、黄金虫の体表を走り抜けました。
spit:「いったー!!
スピットは叫びます。
ダメージに、黄金虫が牙をむいてスピットに襲いかかります。
アブ、"hayate"さんのパーティの剣士さん、商人さんが、感嘆の声を上げます。
「おお〜!」
スピットは構えました。
spit:「
こいや、オルァ!!
tama.:「って、死ぬんかい!
Abd:「ミリセク死〜。
spit:「わはははははは!
いや…スピット…
結局、スピットが攻撃を仕掛けた金ゴキは、剣士のRidgelさんがほぼ
タイマン状態でたたきつぶし、
ita:「ふー。
Abd:「死にましたね、スピット。
倒れたスピットを見下ろしながら、二人が言います。
スピットは電波で、みんなに返しました。
spit:「一息ついているところ悪いんだけど…
そしてスピットは言いました。
spit:「
もう一匹出てきたよ。
見ると、新たな黄金虫が、すぐ近くに現れています。
Ridgelさんは連戦で金ゴキ退治をやすやすと成し遂げていました。
それを遠巻きに見ながら、スピットはたからかに笑いました。
spit:「hayateさんの悔しがる顔が目に浮かぶわ!
目的チガウし!
遅れてやってきた"hayate"さん。
倒れたスピットを見て、息をのみました。
スピットはにやり。
spit:「あこがれの金ゴキに、ミリセク死。
誇れません。
"hayate":「うむ。
Abd:「ホント、早かったねぇ。
spit:「ふふふふふ。
スピットは笑いながら、言いました。
spit:「金ゴキに当てましたよ。
その言葉に、"hayate"さんはそっと、目を閉じました。
静かに、息を吸い込みます。
そして、"hayate"さんは言いました。
ビシッっと親指を突き立てた拳を、スピットの方へと突き出して。
"hayate":「やったな!
マテ!
そういう話だったか!?
ita:「あ、また金いましたよ!
Ridgel:「どこ?
イタの後を追って、アブも剣士さんも走っていきます。
スピットは言いました。
spit:「死んでこーい。
"hayate"さんもこくりとうなずいて、言いました。
"hayate":「スピットの屍を越えて行け!
spit:「その通りー!
"hayate":「ふみふみ。
spit:「いやっ!
駆けだしていくいくつもの足音が、やがて、遠ざかっていきました。
プロンテラ地下水道最下層に、しんとした静けさが戻ってきます。
その中、スピットはひとり、つぶやきました。
何に?