前回までのあらすじ
スピットたち一行は、フェイヨンダンジョンに挑みました。
目的は、このダンジョンに生息する、ムナックというモンスターを一目見ることです。
ところがこのダンジョン。
1階と2階のレベルが、遥かに違います。
決死の覚悟で挑むスピットたちですが、結果は必死。
3度のトライで、スピットが言いました。
spit:「うん。
spit:「無理。
そして一行はフェイヨンにいました。
さんさんと降り注ぐ午後の陽光の中。
五人は座っています。
ツアー失敗の傷を癒す皆に向かって、スピットはいいました。
spit:「ところでみんなは、アルベルタに行ったことはある?
ita:「冒険者の端くれなのに…
spit:「いや、イブはないだろうと思っていたが、おまえらもか!!
Abd:「あまりプロンテラから出ないから。
spit:「よし、ならここからならアルベルタは近い。
スピットはすっくと立ち上がって、いいました。
spit:「あ、いや、観光。
luvas:「敢行になるんじゃねぇのか?
spit:「ワームテールと戦う…
ita:「敢行だ、敢行。
*1
そんなこんなで、スピット一行は歩き出します。
行き先はアルベルタ。
アルベルタはプロンテラの南東方、ここ、フェイヨンからすると、南にすこし下ったところにある、港湾都市です。
美しい港街であるアルベルタは、商人ギルドがあり、冒険者たちがあふれている街…というよりは、観光の街という雰囲気の街なのです。
森をてくてくと抜けている最中、スピットがふいに言いました。
ita:「そうなの?
spit:「俺、魔導士に成り立ての頃、ずーっとここで修行してたからなぁ。
Abd:「こんなにプロンテラから離れたところで…
spit:「あの頃はよく、アルベルタにも行ったもんだ。
*2
eve:「ふーん。
spit:「道案内は任せろ。こっちだ。
と、スピット。てくてくと進み…
はぐれました。
spit:「ちゃんとついて来いよー。
luvas:「オマエが勝手にすすみすぎなんじゃ、ゴルァ!
spit:「ち。
電波にみんなの位置を確認すると、アブが一番近くにいます。
スピットはアブの方へと歩いていきました。
が、アブは崖の下。
スピットは崖の上。
spit:「ぴきーん!
*3
spit:Abd:「考えてること、
一緒かい!
何をしているんだか。
spit:「あれ?
そんなときです。
懐かしくスポアにライトニングボルトをかけたり、スネークを相手にしてみたり、ワームテールに挑んでみたりして歩いていたスピットが声を上げました。
アルベルタまではあと少し。
eve:「どうしたの?
イブが聞きました。
spit:「おおっ!
ita:luvas:Abd:「
三゜д゜)b ひさびさに聞いたぜ!
spit:「うれしいか。そうか、
うれしいか。 q(=m=
eve:「あ、じゃあハチの壺あげようか。
spit:「なんですと? (・п・ii
*4
spit:「っていうか、蜂の壺を持ってる敵って…
ita:「蜂だな。
Abd:「…強くなりましたねぇ。
イブは蜂の壺を取り出しながら言います。
eve:「経験値稼ぎにちょうどいいんだよ。
luvas:「(・^・p
ita:「何を怒って…
spit:「蜂は風魔法が効かないから嫌いだ。
eve:「はい。
手渡された蜂の壺をスピットは鞄に入れました。ずしりと重いです。
ita:「あ、青ハーブあげようか。
spit:「マジで!?
ita:「25枚くらいある。
spit:「(・^・p
ita:「何を怒って…
さて。
そんなこんなで、一行は港湾都市アルベルタへとたどり着きました。
海の向こうにさんさんと輝く太陽が照らす街、アルベルタ。
白を基調とした町並みに、港湾都市特有の日差しが反射して、街全体を陽気に照らしています。聞こえる風の音も潮騒も、街全体を十分すぎるほど十分に包み込んで、活気をもたらしているようです。
揚々と歩き出します。
eve:「スピットはアルベルタにくわしいの?
イブが聞きました。
spit:「んにゃ。
spit:「冒険者に成り立ての頃、この近所で鍛錬してたから、たまに来たりしていたくらいだよ。
eve:「ふーん。
luvas:「で、まずはどこに行くんだ?ガイド。
spit:「ふ。アルベルタに来たら、まず行くところは決まっている。
スピットはすたすたと歩く足を止めて言いました。
チガウだろ。
スピットたちはアルベルタの街を歩きます。
アルベルタ名物の大階段を観光し、ツルハシがわしわし動く家を眺め、そして…
spit:「船探検だ!
スピットはらんらんと目を輝かせて、船の中に入ります。
そしてみんなでバラバラになって、船探検の開始です。
ラバとアブはふたりでてくてくと探検に出かけたようです。イブはてくてくとひとりで船探検。さて、スピットは…
spit:「あ!
spit:「ふかふかだー!
いました。
っていうか、
ヲイ!*5
spit:「冗談冗談。
スピットは電波で返します。
Abd:「さすが、ナンパの帝王だね。
spit:「なんでよ。
Abd:「いつでも連れ込める場所を用意しているところが。
luvas:「修業時代か…
spit:「オマエら、コロス。
スピット、先に出ていったイタの後を追います。
ラバとアブの位置を、電波に確認します。
spit:「あ。
あやうし!
eve:「迷った。
spit:「こっちこっち。
っていうか、電波でなく、実会話で話すところがどうなんだ、スピット。
イブがてくてく歩いてきます。
eve:「なに?
spit:「
ふかふかのベッドなのだ。
絶対チガウだろ。
eve:「どれ?
イブ、ベッドの上に乗って、跳ねてみます。
eve:「ほんとだー。
乙女の危機!!
そして今まさにスピットがベッドの上から飛び降りたイブに飛びかか…!!
ita:「占拠。
luvas:「どうぞごゆっくり。
Abd:「って、ハイディングで消えるし。
spit:「なんだオマエらー!
*6
スピット。顔を真っ赤にして、言いました。
spit:「オマエら、みんな
死ねー!
さて、アルベルタの海岸線。
まったり。
spit:「アルベルタ、やっぱりいいなぁ。
Abd:「いい街ですねー。
eve:「他には、何か見所ないの?
spit:「あー。
スピットはアルベルタの青い空を見上げて言いました。
spit:「そういえば、旅館のベッドもふかふかだ。
スピットは堤防からとうと飛び降りました。
てくてくと歩いていきます。イタ、アブ、ラバも続きます。
eve:「…
イブも仕方なしに続きました。
eve:「
何ツアー?
身の危険を感じているのは、きっと
正解です。
さて、スピットたち一行は旅館の二階。
一室の中に無断で立ち入りです。
アルベルタ特有の石造りの部屋に、ソファが二組。テーブルとお揃いの椅子。
きれいな作りのその部屋に、皆も感嘆のため息を吐きます。
Abd:「これはいい部屋ですねー。
くるくると部屋を見回しながら、アブ。
luvas:「なにが?
にやにや笑いながら、ラバはソファに座って言います。そして意味なく、ハイディングを唱えて姿を消してみます。
luvas:「どうぞごゆっくり。
ita:「なにをしてるんだか。
spit:「あー、こういう家に住みたいー。
*7
eve:「いいねぇ。
ベッドの上に座ったイブが言ったときです。
spit:「じゃあ、イブ。
eve:「?
spit:「ふたりの愛の巣を〜!
ita:Abd:luvas:「
iii゜д゜)
スピット、そんなキャラだったっけ?
あたりまえだ。
イブがこの日、かたーい決心をしたことを、スピットたちは知りません。
さて、一行はアルベルタにそろそろ飽きてきました。
ita:「このあと、どうする?
spit:「街巡りってことで、次はモロクでも行こうか。
Abd:「行ったことないですねー。
eve:「私もないです。
luvas:「ああ、そう言えば
そんな名前の街で生まれた気がする。
っていうか、自分の生まれ故郷だろ。
eve:「悪い子の街ですね。
Abd:「じゃあ
スピットもそうか。
spit:「俺は生粋のプロンテラっ子だ!
*8
わいわいと一行はアルベルタの時空移動サービスの職員に話しかけます。
モロクはここから歩いていくと結構な距離がありますが、空間移動サービスを使えば、あっと言うまです。
spit:「いくらだ?
職員に話しかけたイタに、スピットはお財布を取り出しながら聞きます。
ita:「
1500z。
相変わらず、貧乏人です。
プライドないのか!
eve:「こら!
スピットの襟首をイブが掴んで、引っ張ります。
spit:「ジョークにきまってんじゃんかー!
luvas:「オマエの場合、そうみえねぇんだよ。
spit:「マヂで!?
eve:「大丈夫だった?変なことされなかった?
spit:「ちょってマテェァ! イブ!!
スピット、最悪です。
ita:「じゃあ、四人分で。
言い合う皆に苦笑いで、イタがお金を払っていました。
そして一行は次の街、モロクへと旅立つのでした。