studio Odyssey



ギルド、その名は…



spit:「ぼー。

 今日も今日とてプロンテラベンチ。

 ひとり、スピットが座っています。

spit:「みんな、遅刻かよー。


 奇跡です。

 集合時間の12時に、スピットが間に合っています。
 っていうか、だからか!だからだ!!


 他のメンバーがいません。


spit:「みんな、おそいなー。

 スピットの道具袋の中には、あの革袋がありました。*1

まちぼうけ

ギルド、その名は…


 うたた寝をしていました。
 プロンテラの午後の陽光は暖かく、そして、ゆっくりと過ぎていく時間に、スピットはついつい、うたた寝をしてしまってたのでした。

spit:「ん?

 ふいにその陽光を遮った陰に、スピットは目を開けました。

spit:「をわああぁ!?

 眼前に、金色の髪の女の子商人の姿がありました。
 女の子はスピットにくっつかんばかりに接近していて、
女の子:「はぁはぁ…


spit:Σ(゜п ゜!!


謎の商人少女
女の子:「あり?起きちった。
spit:「誰だ、きさまー!

 どきどきとしているスピットからちょいと離れると、女の子はベンチの前に座ります。


女の子:「おかぁさんの言付けできました。
spit:「俺に嫁さんはいない。
女の子:「スピットさんの子どもぢゃないです。
spit:「そうか、それはよかった。しっしっ!
女の子:「ああっ!無下!?

 見知らぬ商人の女の子は続けます。

女の子:「おかぁさん、スピットさんは女の子に優しくないです。

spit:「それは時と場合と相手による。

 突然くっついてきて「はぁはぁ」いう女の子は非該当のようです。

 ふと、スピットは気づきました。
 そういえば、うちのパーティには突然迫ってきて「はぁはぁ」する女の子がいたような気がします。


 聞いてみました。

spit:「…まゆみ嬢?

女の子:「おお!それはおかぁさんの名前です。
 女の子ははぁっと顔を明るくして返しました。
 逆に、スピットはげっそりです。

spit:「さくら家の人間は、みんなそんななんか…
aki:「あき・さくらともうします。あっきーと呼んでくださいませ。
 と、その商人はぺこり。

spit:「しかし、ちょっとマテ。
 スピットは彼女の言葉を遮って言いました。

aki:「あい?

spit:「どーみても、まゆみ嬢は娘がいるような年齢には見えないんだが…?
aki:「そーゆー、プライベートな事は聞きっこなしです。
spit:「…なにか?まゆみ嬢は細胞分裂でもして増えるのか?
aki:「あぅー。おかぁさん、スピットさんは意地悪です。
spit:「時と場合と相手による。

aki:「拾われっ子です。

 その女の子商人は軽く笑って言いました。
aki:「オークダンジョンで拾われました。

spit:Σ(゜п ゜!!*2

 笑って言うその子の言葉が、どこまで本気で、どこから嘘なのか、スピットにはさっぱりでした。
spit:「ま、まぁ…いい。それで、嬢は?
aki:「今日はどうしてもはずせない用事があるとかで、変わりに私が来ました。
spit:「そうか、そうか。

 こくこくとスピットはうなずきました。

spit:「よいこには、ミルクをあげよう。
aki:「わーい。って、なんでー!?

spit:「みんなコネーなー。

 さんさんと降り注ぐ午後の陽光の中、スピットはぼやきました。*3


 さて、しばらくあっきーとだらだら話していると、どこからどう見てもあやしい商人がひとり、ベンチに近づいてきました。

spit:「…来るな。
aki:「あ。
 あっきーはぱぁっと顔を明るくします。

aki:「おーい、しゅーちゃーん!

spit:お前の知り合いかーッ!?

 衝撃の姿です。
 後ろから見れば、長い金色の髪はかわいい女の子のそれですが、前から見れば…

こ、この姿は…
syu-ho:「はじめまして、萩帆(しゅうほ)といいます。
spit:「お前、絶対プロンテラ騎士団に捕まる。
syu-ho:「ひどいですよー。


 いや、卵殻帽子にサングラスといういでだちは、どう見ても過激派です。*4

spit:「お前の赤ポはきっと燃えるな。
aki:「空き瓶買い取りしてますよー。
spit:「何詰めるんだ!なにを!!

syu-ho:「…あるこー…むぐぅ!

spit:「アブネェ発言すんな!*5
 萩帆の口を押さえて、スピットはあたりを回しました。幸い、近くには誰も…

Abd:「またナンパですかー?

spit:「をわぁあぁ!?

 突然背後に現れたのは、アブです。
いつもの場所に
spit:「頼むから、突然現れるのはやめてくれ。
Abd:「神出鬼没がモットーですから。
spit:「やなモットーだ。


aki:「あ。

 と、突然、あっきーが立ち上がったかと思うと…



この娘は…
aki:「はぁはぁ…


Abd:(;>д<)


spit:「やめーッ!!


Abd:「な、なんなんだ、この子は…

spit:「家系だ。気にするな。
Abd:「そうか。なら仕方ないですね。

 いや、そういう問題じゃないです。



spit:「ところでみんな、ギルド名は考えてきたのかな?

 スピットはとりあえず集まった四人に聞いてみました。

 とりあえず、半数はそんな話初耳ですが。


Abd:「何も。
 半分のうちのひとりが陥落しました。

Abd:「スピは?

spit:「なんも。


 全滅しました。

aki:「それなら、おかぁさんに言われて、いろいろメモして来ましたよー。
spit:「でかした!あっきー!

 あっきーはポケットからメモ用紙を取り出してぴらりと広げました。
aki:「えーっと…

 そして言いました。

aki:(;´Д`)ハァハァ

spit:却下。

aki:「ああっ、無下!?
spit:「そんな人様にお見せのできないようなのは、イヤじゃ!!

aki:「じゃあ、ひらがなで『はぁはぁ』。
spit:「同じだ!!

aki:「じゃぁじゃぁ、次の候補の『三色パン』


spit:「…なぜ?

Abd:「三大属性マジをイメージしてるんじゃないですか?
spit:「ああ。なるほど。
aki:「クリーム、チョコ、小倉。

Abd:「なぜ小倉!?
syu-ho:「3つシリーズなら、BLTサンドとかでもいいじゃないですか。
spit:「3つシリーズである必要性がない…
Abd:「とすれば、グリがベーコンですね。スピ、レタスやる?
aki:「で、抜かれる、と。
spit:「それ、違う世界の話。
Abd:「はい?
spit:「気にするな。*6


spit:「しかしオマエら、本当にまともなの考えてきてねぇのかよ?
aki:「マジ子たん(;´Д`)ハァハァ
spit:「いい加減、その辺から離れなさい。
aki:「おかぁさんの案を言ってるだけだよー。
syu-ho:「他にはなにがあるの?

aki:「立ちアコたん(;´Д`)ハァハァ
spit:「却下。っていうか、アコだったら、プリの方がいい。*8
syu-ho:「スリットにどきどき?
aki:「立ちプリたん(;´Д`)ハァハァ
spit:「でもつけねぇよ。
syu-ho:「男プリほーむらん(;´Д`)ハァハァ
aki:「えー、アサシン♂のほうがいいよぉ。


spit:「いいかげんそこから離れないと、怒るぞ?

 っていうか、まだ怒っていないのが偉いです。

 あっきーはぽつりと、次の案を言いました。

aki:「…自動かぼちゃ。
Abd:「離れた。
spit:「かわらん!しかもそのあと、芋、にんじんと続くんだろ!?

aki:「自動化け物のえさ

Abd:「言いにくい…

 でも、スピットの予想は外れましたが。*7

 スピットは小さくため息を吐いていいます。

spit:「…エンブレムも考えないといけないんだよ。
Abd:「…ねここねこ。

spit:「ってゆーかおめぇ、今見たものを口にすんな!
Abd:「くっ、くるしぃ…*9
 ベンチの後ろ、壁の上をてくてくと歩いていた黒猫が、スピットの声にぴょいとどこかへ逃げ出してしまいました。

syu-ho:「まぁまぁ、落ちついて。
spit:「過激派に言われたくネェぞ!?
syu-ho:「がぁん!
aki:「ネコミミマジ子たん(;´Д`)ハァハァ
spit:「お前、黙れ!
Abd:「落ち着け、スピ!
aki:「首輪でもよし。
syu-ho:「足枷は?
aki:「足枷マジ子たん(;´Д`)ハァハァ もしくは、足枷アコたん(;´Д`)ハァハァ
syu-ho:「おお。ないす!
aki:「入った人には、足枷ぷれぜんとー!
syu-ho:「っていうか、きょうせい〜。
Abd:「しかし、それは想像すると…



…


aki:「…
Abd:「…
syu-ho:「…
spit:「…


 いや、その沈黙はなんですか?


spit:「いいや!だめだぁ!!そんな名前はつけられーん!!
aki:「ええぇっ、読者のみんなも期待している展開だよぉ?
spit:「読者ってなんだ!?
Abd:「まぁ、落ち着け。*10
syu-ho:「ギルドマスターは、ご主人様だねっ。


spit:「…


spit:「ダメだぁッ!!


 いや、即答しろよ、おめぇ。

aki:「ご主人さまぁ。
Abd:「ごしゅじんさまぁ〜。

spit:「そうかよーし!オマエらの気持ちはよーっくわかった!!

 そう言って、スピットはすっくと立ち上がりました。

 腰から、勢いよくアークワンドを引き抜きます。
Abd:「あ、こんな街中で…


spit:「サンダーストー…




 その瞬間、スピットモニターがぶんっと音を立てて映らなくなりました。

 スピットのギルド名は、まだ未定のようです。*11


*1 前回の、「Prontera-Bentchの仲間たち」参照。
*2 だって、本当にそう言うんだもん!
 ちなみにこの辺の会話、すべて本物。っていうか、今回の話はチャット中心。実際のチャットから、コピペ編集でお送りします。(手抜きじゃないです)
*3 ちなみにこの日はログオンサーバが死んでいたので、場所移動時の切り替えで落ちると、二度と入れないというステキな状況でした。
 1分間に、約10人前後が落ちていき、帰らぬ人となっていたのです。(スピットがログオンしたときは6000台、4800台までスピットは確認していました)
*4 過激派よりは、むしろ全共闘って感じか。
*5 実際に空き瓶もアルコールも存在するアイテムです。でも合成は出来ません。(出来るけど、ここで話題になっているような物は作れません)
*6 .hack。現実ネタが出てくるのは、チャットだから。
*7 化け物のえさは回復アイテム。結構回復力がいい。っていうか、それで体力回復する人は、どうかと。
*8 立ちアコ。Ragnarokのユーザー補助ツール。次のレベルまで、ポリンならあと何匹でレベルアップとかという、ちょっとナイスな高機能プラグイン。(というのか?)サーバチェック機能付き。ちなみに僕は補助ツールはなーんにも使ってません。
*9 そのギルド名はもうあるそうです。そして黒猫に赤首輪のエンブレムもこの時みました。
 オデライクなギルドは前途多難ですね。
*10 そうなんですか?(実話)
*11 そしてこの日はログオンサーバダウンで、もう入れませんでした。なむー。