うたた寝をしていました。
プロンテラの午後の陽光は暖かく、そして、ゆっくりと過ぎていく時間に、スピットはついつい、うたた寝をしてしまってたのでした。
spit:「ん?
ふいにその陽光を遮った陰に、スピットは目を開けました。
spit:「をわああぁ!?
眼前に、金色の髪の女の子商人の姿がありました。
女の子はスピットにくっつかんばかりに接近していて、
女の子:「はぁはぁ…
spit:「
Σ(゜п ゜!!
女の子:「あり?起きちった。
spit:「誰だ、きさまー!
どきどきとしているスピットからちょいと離れると、女の子はベンチの前に座ります。
女の子:「おかぁさんの言付けできました。
spit:「俺に嫁さんはいない。
女の子:「スピットさんの子どもぢゃないです。
spit:「そうか、それはよかった。しっしっ!
女の子:「ああっ!無下!?
見知らぬ商人の女の子は続けます。
女の子:「おかぁさん、スピットさんは女の子に優しくないです。
spit:「それは時と場合と相手による。
突然くっついてきて「はぁはぁ」いう女の子は
非該当のようです。
ふと、スピットは気づきました。
そういえば、うちのパーティには
突然迫ってきて「はぁはぁ」する女の子がいたような気がします。
聞いてみました。
spit:「…まゆみ嬢?
女の子:「おお!それはおかぁさんの名前です。
女の子ははぁっと顔を明るくして返しました。
逆に、スピットはげっそりです。
spit:「さくら家の人間は、みんなそんななんか…
aki:「あき・さくらともうします。あっきーと呼んでくださいませ。
と、その商人はぺこり。
spit:「しかし、ちょっとマテ。
スピットは彼女の言葉を遮って言いました。
aki:「あい?
spit:「どーみても、まゆみ嬢は
娘がいるような年齢には見えないんだが…?
aki:「そーゆー、プライベートな事は聞きっこなしです。
spit:「…なにか?まゆみ嬢は細胞分裂でもして増えるのか?
aki:「あぅー。おかぁさん、スピットさんは意地悪です。
spit:「時と場合と相手による。
aki:「拾われっ子です。
その女の子商人は軽く笑って言いました。
aki:「オークダンジョンで拾われました。
spit:「
Σ(゜п ゜!!*2
笑って言うその子の言葉が、どこまで本気で、どこから嘘なのか、スピットにはさっぱりでした。
spit:「ま、まぁ…いい。それで、嬢は?
aki:「今日はどうしてもはずせない用事があるとかで、変わりに私が来ました。
spit:「そうか、そうか。
こくこくとスピットはうなずきました。
spit:「よいこには、ミルクをあげよう。
aki:「わーい。って、なんでー!?
spit:「みんなコネーなー。
さんさんと降り注ぐ午後の陽光の中、スピットはぼやきました。
*3
さて、しばらくあっきーとだらだら話していると、
どこからどう見てもあやしい商人がひとり、ベンチに近づいてきました。
spit:「…来るな。
aki:「あ。
あっきーはぱぁっと顔を明るくします。
aki:「おーい、しゅーちゃーん!
spit:「
お前の知り合いかーッ!?
衝撃の姿です。
後ろから見れば、長い金色の髪はかわいい女の子のそれですが、前から見れば…
syu-ho:「はじめまして、萩帆(しゅうほ)といいます。
spit:「お前、絶対プロンテラ騎士団に捕まる。
syu-ho:「ひどいですよー。
いや、卵殻帽子にサングラスといういでだちは、どう見ても
過激派です。
*4
spit:「お前の赤ポはきっと燃えるな。
aki:「空き瓶買い取りしてますよー。
spit:「何詰めるんだ!なにを!!
syu-ho:「…あるこー…むぐぅ!
spit:「アブネェ発言すんな!
*5
萩帆の口を押さえて、スピットはあたりを回しました。幸い、近くには誰も…
Abd:「またナンパですかー?
spit:「をわぁあぁ!?
突然背後に現れたのは、アブです。
spit:「頼むから、突然現れるのはやめてくれ。
Abd:「神出鬼没がモットーですから。
spit:「やなモットーだ。
aki:「あ。
と、突然、あっきーが立ち上がったかと思うと…
aki:「はぁはぁ…
Abd:「
(;>д<)
spit:「やめーッ!!
Abd:「な、なんなんだ、この子は…
spit:「家系だ。
気にするな。
Abd:「そうか。なら仕方ないですね。
いや、
そういう問題じゃないです。
spit:「ところでみんな、ギルド名は考えてきたのかな?
スピットはとりあえず集まった四人に聞いてみました。
とりあえず、半数は
そんな話初耳ですが。
Abd:「何も。
半分のうちのひとりが陥落しました。
Abd:「スピは?
spit:「なんも。
全滅しました。
aki:「それなら、おかぁさんに言われて、いろいろメモして来ましたよー。
spit:「でかした!あっきー!
あっきーはポケットからメモ用紙を取り出してぴらりと広げました。
aki:「えーっと…
そして言いました。
aki:「
(;´Д`)ハァハァ
spit:「
却下。
aki:「ああっ、無下!?
spit:「そんな人様にお見せのできないようなのは、イヤじゃ!!
aki:「じゃあ、ひらがなで『はぁはぁ』。
spit:「同じだ!!
aki:「じゃぁじゃぁ、次の候補の『三色パン』
spit:「…なぜ?
Abd:「三大属性マジをイメージしてるんじゃないですか?
spit:「ああ。なるほど。
aki:「クリーム、チョコ、小倉。
Abd:「なぜ
小倉!?
syu-ho:「3つシリーズなら、BLTサンドとかでもいいじゃないですか。
spit:「3つシリーズである必要性がない…
Abd:「とすれば、グリがベーコンですね。スピ、レタスやる?
aki:「で、抜かれる、と。
spit:「それ、違う世界の話。
Abd:「はい?
spit:「気にするな。
*6
spit:「しかしオマエら、本当にまともなの考えてきてねぇのかよ?
aki:「マジ子たん(;´Д`)ハァハァ
spit:「いい加減、その辺から離れなさい。
aki:「おかぁさんの案を言ってるだけだよー。
syu-ho:「他にはなにがあるの?
aki:「立ちアコたん(;´Д`)ハァハァ
spit:「却下。っていうか、アコだったら、プリの方がいい。
*8
syu-ho:「スリットにどきどき?
aki:「立ちプリたん(;´Д`)ハァハァ
spit:「でもつけねぇよ。
syu-ho:「男プリほーむらん(;´Д`)ハァハァ
aki:「えー、アサシン♂のほうがいいよぉ。
spit:「いいかげんそこから離れないと、
怒るぞ?
っていうか、まだ怒っていないのが偉いです。
あっきーはぽつりと、次の案を言いました。
aki:「…自動かぼちゃ。
Abd:「離れた。
spit:「かわらん!しかもそのあと、芋、にんじんと続くんだろ!?
aki:「自動
化け物のえさ。
Abd:「言いにくい…
でも、スピットの予想は外れましたが。
*7
スピットは小さくため息を吐いていいます。
spit:「…エンブレムも考えないといけないんだよ。
Abd:「…ねここねこ。
spit:「ってゆーかおめぇ、今見たものを口にすんな!
Abd:「くっ、くるしぃ…
*9
ベンチの後ろ、壁の上をてくてくと歩いていた黒猫が、スピットの声にぴょいとどこかへ逃げ出してしまいました。
syu-ho:「まぁまぁ、落ちついて。
spit:「過激派に言われたくネェぞ!?
syu-ho:「がぁん!
aki:「ネコミミマジ子たん(;´Д`)ハァハァ
spit:「お前、黙れ!
Abd:「落ち着け、スピ!
aki:「首輪でもよし。
syu-ho:「足枷は?
aki:「足枷マジ子たん(;´Д`)ハァハァ もしくは、足枷アコたん(;´Д`)ハァハァ
syu-ho:「おお。ないす!
aki:「入った人には、足枷ぷれぜんとー!
syu-ho:「っていうか、きょうせい〜。
Abd:「しかし、それは想像すると…
aki:「…
Abd:「…
syu-ho:「…
spit:「…
いや、その沈黙は
なんですか?
spit:「いいや!だめだぁ!!そんな名前はつけられーん!!
aki:「ええぇっ、読者のみんなも期待している展開だよぉ?
spit:「読者ってなんだ!?
Abd:「まぁ、落ち着け。
*10
syu-ho:「ギルドマスターは、ご主人様だねっ。
spit:「…
spit:「ダメだぁッ!!
いや、
即答しろよ、おめぇ。
aki:「ご主人さまぁ。
Abd:「ごしゅじんさまぁ〜。
spit:「そうかよーし!オマエらの気持ちはよーっくわかった!!
そう言って、スピットはすっくと立ち上がりました。
腰から、勢いよくアークワンドを引き抜きます。
Abd:「あ、こんな街中で…
spit:「サンダーストー…
その瞬間、スピットモニターがぶんっと音を立てて映らなくなりました。
スピットのギルド名は、まだ未定のようです。
*11