さて、なんだかんだとやっているうちに、ぞくぞくと炭坑ダンジョンに今日のメンバーが集まりました。
appi:「おひさー。
Grill:「なぜか、ものすごい久しぶりな気がするのは、気のせいか?
Abd:「気のせいですよ。
ですよ。*2
spit:「あ、そーだ、グリム。
ふと、思い出したようにスピットが言いました。
Ahsgrimm:「なんだ?
spit:「聞こうと思ってたんだ。風の噂で聞いてな。耳カセや。
Ahsgrimm:「ん?
耳を貸すグリムに、スピットは耳打ちします。
そしてグリムはスピットのその話を聞いて、さーっと顔を青くしました。
Ahsgrimm:「なんで知ってんだー!?
spit:「あ、マヂなんだ。
spit:「まーなに、パーティ、プロンテラベンチのリーダーにして、ギルドRagnarokのマスター、スピットの情報収集能力をナメルナって感じ?
appi:「なんの話ですかー?
Grill:「気になるネ。
spit:「フフリ。おしえなーい。
Ahsgrimm:「ああぁっ、穴があったら入りたいっ!
と、言ったかと思うと、グリム。
Ahsgrimm:「ハイディング!!
そのスキルはシーフスキルの、姿を消すスキルです。
spit:「ふ。
ぱちりと、スピットは指を鳴らしました。
spit:「無駄なことを。
そのスキルは
ハイディングを解除するスキルです。
*3
Ahsgrimm:「(がくがくがく
spit:「まぁ、なんだ、グリム。
にやりとスピットは笑って、言いました。
spit:「3F行くから、手伝えや。
Ahsgrimm:「手伝わせていただきます。
appi:「グリムさんの弱みを握ったらしーです。
Grill:「なんだろ?
Abd:「ははぁーん。
にやりと、アブ。
Abd:「
オンナですねっ!?
appi:「お義兄さん、小指をたてるのは、どうかと…
spit:「よしよし、行くぞ、アブ。今日も冒険の後には、いつもの酒場にいこーな。バニーちゃんの。
Abd:「ごあッ!?
appi:「姉に…
Ahsgrimm:「つか、一緒にってことは、スピもじゃん?
Grill:「だな。
spit:「Σ( ゜□ ゜!!
appi:「…スピさん?
とにもかくにも、一行は炭坑ダンジョン3Fへと挑みます。
*4
spit:「パーティ組むよー、グリム抜きで。
Ahsgrimm:「はいはい、公平パーティでもなんでも組んでください。
spit:「よし、グリム。テキトーに敵を持ってこい。
Ahsgrimm:「はいはい…
と、炭坑の奥にグリムは歩いていきます。
で、わらわらとスケルワーカーを大量に連れてきました。
spit:「多っ!?
Ahsgrimm:「これくらい、平気だろ?
spit:「アピを守らにゃならんからな。アピを守りつつ、個別撃破だー!
Grill:「らじゃー。
Abd:「では、義妹は私が!愛のアイスワール!!
spit:「いろんな意味で、寒。
しかも自分も中。
Abd:「私が死なない限り、死なせません!
spit:「氷の壁の中でいうな。
順調に一行は狩りを続けます。
さすが、高レベルアサシンのアースグリムをトップに据え、火力はギルドRagnarokの3大火力、3色魔導士どもです。
並み居る敵もばったばったとなぎ倒し、順調に経験値をためていきます。
appi:「…お座り〜。
spit:「いや、マヂお座りしてるだけじゃなくて、ヒールくらいはかけて!?
appi:「えーっと、ヒールはどうやって使うんだっけ?
spit:Ahsgrimm:Abd:Grill:「
三゜д゜)!!
appi:「うそ、うそ。
Grill:「うーん、ちょっとSP少なくなってきた。アピさん。
appi:「まにぴかっとー!
spit:「…intが上がると、SP回復も速くなるし、魔法の攻撃力も増すって、覚えてるか?
appi:「
!?
appi:「
ブレッシング!!
っていうか、
本当に忘れていたんですかっ!?
spit:「あ、そういや、さっきスケルワーカーが帽子落としたんだ。誰か虫眼鏡もってない?
Ahsgrimm:「拡大鏡のことか?
spit:「そう、それ。ある?
Grill:「あるよ。
appi:「ありますよー。
spit:「くれ。
と、グリから虫眼鏡こと、拡大鏡をもらって、スピットはスケルワーカーが落としたアイテムの帽子を鑑定しました。
*5
spit:「ゴーグル…
Ahsgrimm:「マジ・ウィズ、装備不可。
spit:「イラネ!!
Abd:「じゃ、初心にあげるんでください。
spit:「やるわ。
appi:「どうせドロップアイテム取るなら、ドルイドドロップのアイテム取ってください。
言うアピに、スピットは聞き返しました。
spit:「ドルイドドロップってなに?
Ahsgrimm:「バイブル。
spit:「イラネ。
appi:「聖職者のあこがれですよー。
spit:「魔法書でよければあるぞ。
Grill:「装備品じゃないぞ。
Ahsgrimm:「少女の日記でよけば…
Abd:「あ、欲しいかも。
マテ。*6
Ahsgrimm:「じゃ、ドル様でも連れてくるか。
と、てくてく歩いていったグリムが、戻ってくると…
Ahsgrimm:「ゴメ、ドルいない。
spit:「つか、多っ!?
Abd:「んじゃ、一気にいきますかっ!!
行きますかっ!?
火力だけはさすがです。
*7
appi:「がんばれー!
Abd:「義兄さんはがんばりますよぉー。
Ahsgrimm:「焼豚、SP平気か?
Grill:「無駄に漏れてる人が倒してくれるので、大丈夫。
spit:「もういっちょー!
appi:「もう少しでレベル上がります!スピさんがんばってー!!
spit:「アピの経験値なぞしらん!俺にLoVを撃たせろー!!
Abd:「そうなんですかっ!?
appi:「あぅ!?
Ahsgrimm:「ドル様でも連れてくるか…
小一時間ほど、そんな事をやって、一行はだいぶん経験値をためました。
spit:「んー、そろそろ上がるか?
スピットは言いました。
spit:「なにげに、みんなレベル上がったみたいだし。
appi:「あがりましたー。
Abd:「…何ヶ月ぶりでしょう。
Grill:「俺も1日で上がるとは…
Ahsgrimm:「センセー。上がってません。
spit:「
聞こえません。
まぁ、グリムは他の連中より10レベルほどレベルが高いのですが。
spit:「蝶の羽はみんなあるなー?
Ahsgrimm:「あるよ。
Grill:「あれ?ポタじゃないの?
Abd:「義妹の前で、なんてことを!!
appi:「…ポタル使えません。
Grill:「あ、そだっけ。
Ahsgrimm:「それはスピの前でFWとか、FDとかのコンボ技の話をするくらい、失礼だぞ。
Abd:「いや、それだとそれほど失礼でもないですよ。もっとですね。
spit:「
マテ。*8
spit:「とりあえず、各自、蝶の羽で帰投!ベンチに再集合だ!!
Grill:「おけー。
と、言うが速いか、グリは蝶の羽でしゅんっと飛びました。
appi:「では、お先です。
アピも続きます。
Ahsgrimm:「アブ、蝶あるの?
Abd:「ありますよ、大丈夫です。
Ahsgrimm:「スピは?
spit:「たぶん、あるよ。えーっと…
ごそごそと、スピットは鞄の中をあさります。「どこしまったっけ?」なんてやっているスピットを「おいおい」と苦笑いで見ていたグリムが、はっとしました。
Ahsgrimm:「…なぁ、アブ…
Abd:「ええ…ですね…
Ahsgrimm:「…プリナシは、きっついかな
Abd:「ですかねぇ。
spit:「あった。
Abd:「
志村後ろ!!
spit:「
は?
Ahsgrimm:「
違うだろッ!!*9
グリムが駆け出します。
その後ろへ、アブがアイスワールで氷の壁を立ち上らせました。
とっさ、振り向き、スピットは魔法の詠唱に入りました。
spit:「
ドル様キター!?
Ahsgrimm:「っていうか、俺だけ蚊帳の外かよ!?
Abd:「がんばって〜。
spit:「下がれ下がれ!援護するから!!
どたばたどたばたと、魔導士ふたり、暗殺者ひとりが強敵、イービルドルイドに立ち向かいます。
グリムが敵の攻撃をかわしながら氷の壁にイービルドルイドを引き寄せ、そこにスピット、アブが魔法をたたき込みます。「つか、JTで飛ばすなー!!」「破壊力はこっちの方があるんだよー!!」「ああっ!?壁が壊れた!?」
どたばたどたばたしながらも、そこは破壊力
だけはあるスピットとアブです。前衛のグリムもいる今、たとえイービルドルイドといえども、負けはしません。
強敵、イービルドルイドを、
Ahsgrimm:「死ぬかと…
前衛がなんと言おうと、スピットたちは火力にねじ伏せました。
Ahsgrimm:「一瞬、お花畑が見えたかと…
溶けかけの氷の壁にぺたりとくっついてはあはあと肩で息をしているグリムに、アブは苦笑いです。
spit:「をよ?
ドルイドの倒れた後に、スピットはそれを見つけました。
spit:「…ドル様、なんかおとした。
ひょいと、スピットはそれを拾いました。「あ、FA、俺だったのか」
spit:「ドル様、本おとしたよ。
さすがに死にそうに顔をしていたグリムも驚きで目を丸くしました。
Ahsgrimm:「マジかよ!?
spit:「おう。
Abd:「いい手土産ができましたねっ!
spit:「…ドル様の落とす本って、なんだっけ?
Ahsgrimm:Abd:「
156行前をミロ!!*10
spit:「…もらっていい?
Abd:「私にはいらないものです。
Ahsgrimm:「FA取ったのはスピだから、持ってけ。
spit:「さんきゅ。
手にした本を鞄の中に突っ込んで、残った三人も蝶の羽にプロンテラへと戻りました。
spit:「ただいまー。
appi:「ワープポータルは使えないのに、何でDP9とかあるのかしら?
spit:「しらネェよ。
*11
送れてやってきたアブが、いつもの位置に陣取って言います。
Abd:「やあやあ、大変でしたよ。
appi:「遅かったですけど、何かありました?
Abd:「いや、帰り際に、ドル様の襲撃を食らったんですよ、ねぇ、スピ。
spit:「あ、ああ。
ごにょごにょと、スピットは言葉を濁らせました。
appi:「ヒールします?
spit:「あ、いや、いーよ。あれ?グリとグリムは?
appi:「グリさんはもう帰りました。グリムさんは一緒だったんじゃ?
Abd:「ん?グリムはモロクに出たみたいですね。こっちには来ないみたいです。
appi:「あ、じゃあ、お疲れさまと。
Abd:「スピ。
spit:「ん?
Abd:「がんばれ、だそうです。
にやりと、アブは笑いました。
アピは、「ハテナ?」と、首を傾げます。
spit:「…う、うむ。
スピットは頭の上の帽子をちょいと深くかぶって、膝の上に鞄を置きました。
そして中をごそごそとあさりました。
そして、言いました。
spit:「…あ、虫眼鏡がねぇや。
ぷっと、思わずアブは吹き出しそうになりました。
「ハテナ?」のアピ。とスピットの声が重なります。
spit:「あ、いや。いらねぇ。
ぎゅっと帽子を深くかぶって、スピットは道具袋の中かれそれを出しながら言いました。
spit:「いらないから、これ、鑑定しろ。
appi:「はい?
と、スピットはアピにその本をぴっとつきわたしました。
spit:「ほれ…
appi:「あ…
受け取ったアピが、それを見てつぶやきました。拡大鏡で鑑定しなくてもわかります。
でも、もしかして手の込んだいたずらだったり?
一応拡大鏡で鑑定してみて、でも、やっぱり間違いなくて、アピはぼつりと言いました。
spit:「…HPが減っていた理由だ。
Abd:「グリムなんか、HP1000切って、ヒーヒー言ってましたよ。
appi:「…もらっていいんですか?
Abd:「もちろん。
にこりと笑うアブ。
対照的に、スピットは「ふん」と鼻を鳴らして言います。
spit:「んなもん、俺にはもてん。
ぷっと、思わずアブは吹き出しました。
spit:「…なんだよ。
Abd:「なんでもありません。
バイブルを手にして、アピはうれしそうににこりと笑って、言いました。
appi:「ありがとうございます。
spit:「…いや。たまたまだし、俺の力な訳じゃネェし。
appi:「お義兄さん、ありがとうございます。グリムさんにもありがとうございましたと、お伝えください。
Abd:「なんのなんの。でも、ドル様に果敢に一発目の魔法を放ったのは、スピですよ。
appi:「…そうなんですか?
spit:「…漏電しただけだ。
Abd:「
素直じゃないですねー。
spit:「なんか言ったか?
Abd:「なにも。
appi:「ふふ。
アピはにこりと笑って、バイブルを抱えなおしました。
appi:「大事にしますね。
spit:「…しなくてもいいぞ。
appi:「します。
spit:「int補正、アークワンドの方が上らしいじゃねぇか。
appi:「そーですよ。
spit:「じゃ、アークワンドの方がいろいろとお得じゃねぇか。
appi:「お得かどうかとかの問題じゃないです。
ちっちっちと人差し指をふりふり、アピは言いました。
appi:「スピさんの、帽子みたいなもんですね。
spit:「…はいはい。
帽子をちょいと深くかぶりなおして、スピットは言いました。
ちょっとにやけた口許を隠すために、意味もなく、言いました。
spit:「今日もプロンテラは、快晴だなー。