さて、うららかな陽射しの下、ここはプロンテラ。
いつものベンチで、スピットとアピが他愛もない話をしていた時でした。
「あ。
と、とてとてベンチ前に、ひとりのアコライトが駆け寄ってきて言いました。
spit:「
Σ( ゜□ ゜!!
appi:「有名人ですねぇ…
そうなんでしょうか?
アコライトの女の子はベンチ前にとことことやってきて、スピットに向かって言います。
「あの、いつも『プロンテラベンチの仲間たち』みてますっ。
spit:「…
appi:「姉の日記…
spit:「
おおぉ!?*1
appi:「どうもありがとうございます。
「あ、私の名前は…
「すみません、炭坑ポタありますか?
と、ハンターさんがやってきて聞きました。
「あ、すみません。炭坑はないです。
「そうですか。
appi:「ポタのポの字もありません。
アピが笑いながら言うと、
「ポタなしプリさん。
ハンターさんも笑いました。
「戦闘用?
appi:「いいえ、支援用です。でも、仕様はレアキャラ。
spit:「DP9とかあるしな。
ハンターさんは笑い、
「じゃ、どうも。
軽く会釈をして、去っていきました。
「…
アコライトの女の子は、ぽつりと言いました。
「
スピットさん専用?
spit:appi:「
三 ゜□ ゜)!!
spit:「バカな!?
appi:「ちがいますよー。
「ふふり。
「すみません。GHないですか?
「あ、あります。
「お願いします。
「はい、逝ってらっしゃい。
spit:「
逝、字!?
appi:「スピさん的には、間違ってないですけど。
「スピットさん、逝ってらっしゃい。(ぇ
appi:「がっつ!
spit:「って、押すなー!?
「逝ってこそ、スピットさん。
spit:「
マテ。
世間はそういう認知らしいです。*2
spit:「…グリムとグリが、冒険にでてるな。
ぽつりとギルド情報を確認してつぶやくスピットに、
appi:「いけますねっ!
spit:「なんでだよ!?
といいつつも、とりあえずは風向きが怪しくなりつつあるので、スピットはギルド電波でグリム、グリを呼びつけるのでした。
Ahsgrimm:「玲於奈が一緒にいるから、一緒にいくよ。
spit:「…おう。
さぁ、いよいよもって、
風向きが怪しくなってまいりました!
*3
ほどなくして、ベンチ前にグリム、飼い主、玲於奈さんが姿を現します。
Ahsgrimm:「よっす。
Leona:「こんにちわー。
spit:「あ、紹介しておく。アースグリムと、玲於奈さん。
「こんにちはー。
と、アコライトの女の子は頭を下げました。
spit:「で、彼女が…
spit:「
名前しらねぇ。
Ahsgrimm:「さすが、ナンパ師。
アコライトの女の子はぺこりと頭を下げて、言いました。
Farmei:「華苺(ファーメイ)と言います。初めまして。
spit:「華ちゃんだ。
なれなれしさはさすがですね、スピットさん。
Leona:「で、GH行くの?
spit:「
Σ(T□T
予感的中。*4
Leona:「前は下水までだったし、どろどろみないと。
玲於奈さんはにこにこ笑って言います。
spit:「どろどろ?
つぶやくスピットに、グリムはがくがくと震えながら、言いました。
Ahsgrimm:「すすすす…すてぃんぐっ!?
Farmei:「フフリ。
その
ニヤリングはなんですかっ!?
*5
「すみませんー。
と、ノービスの女の子。
「ゲフェポタないですか?
Farmei:「ありますよ。
「お願いします。おいくらですか?
Farmei:「…
Farmei:「
お命で。
spit:「ああ…
spit:「今日は死なない限り、オチがつかねぇな。
腹をくくれ。
appi:「あ、あは。私、今日は別の用事がありますので、し、失礼しますね〜。
spit:「ぬぅああぁ!? マテ!アピ!?
appi:「ハエの羽っ!!
しゅんっという音と共に、アピの姿がベンチ前から消えました。
spit:「…
腹をくくれ。
さて、ほどなくして、グリもベンチ前にやってきました。
Grill:「よーっす。
spit:「
ホカクセヨ。
Ahsgrimm:「
ラジャ。
キラリと光る目は、獲物を狙うそれです。
がっしと、グリムはグリを捕まえました。
Grill:「な、なに?
Ahsgrimm:「お前の火魔法が必要になるんだ!
Grill:「は、はいー?
eve:「なにしてんの?
と、ベンチに顔を出したのは、アーチャー、イブリンでした。
spit:「
ホカクセヨ。
Farmei:「
ラジャ。
eve:「なに?なに!?
spit:「まぁ、みんな、そこに座れ。
と、集まった(集めた?)皆をベンチ前に座らせスピットは言いました。
spit:「そんなわけで…
Ahsgrimm:「やっぱり行くんですか!?
Grill:「マジかよ!?
eve:「GH行ったことないな。
Leona:「わくわく。
Farmei:「どきどき。
spit:「一部、盛り上がっちゃってるから、
逝くしかねぇだろ!
Ahsgrimm:「せめて、字は正しくしてください…
Grill:「いや、ある意味それで正解。
Farmei:「憑いていっていいですか?
Ahsgrimm:「字が!?
spit:「
何でもコイだ!!
腹をくくったと言うよりは、
吹っ切れた?
そして一行は、グラストヘイムへ。
Leona:「あ、アリスちゃん、ちわー。
Alice:「あ、玲於奈。
spit:「お、ちわっす。
Alice:「あ、この前の。みんなでグラストですか?
spit:「寄せ集めで、
突貫死です。
Alice:「いろいろいるねぇ。
spit:「寄せ集めですから。
Alice:「玲於奈、金だし…
Leona:「全力でいかないと、死にます。
*6
Alice:「で、どちらに行かれるのですか?
Leona:「
最下層です。
みんな:「 ゜□ ゜)!!
初耳です。
Alice:「御武運を。
spit:「死ぬから、あんまり関係ないです。
まぁな。
そんな訳で、一行は最下層を目指し、カタコンから再び下水へと進みます。
Grill:「ワニキター!?
Ahsgrimm:「多い、多いっ!?無理。絶対、無理!!
Leona:「がんばれー!
Farmei:「SPないですー!
eve:「あ、あたらないっ!?
spit:「10秒耐えろー!!
Ahsgrimm:「ムリだー!!
Grill:「あぁ、お花畑が見える…
Ahsgrimm:「このパーティ、火力あっても、数に耐えられないっ!?
どたばたどたばた、ワニモンスター、アノリアンを倒しながら、一行は進みます。
しかし、ぞくぞくと湧いてくるアノリアンに、もぅ、満身創痍。
十に迫ろうかというアノリアンの団体を押しのけ、やっとこ、休憩出来そうなところまでたどり着きました。
spit:「回復アイテム、だいぶん使っちゃったな…一度、整理しよう。何か足りないモノとかは?
即座に、グリ。
Leona:「回復したら、スティングに会いに行こうー。
spit:「道知らないよ。
Ahsgrimm:「俺もわからんぞ。
Leona:「一度行ったことあるから、たぶん平気。
と言う玲於奈さんを先頭に、一行は下水を歩きます。
Leona:「あ、あれ?
eve:「違いました?
spit:「下かな?
Ahsgrimm:「俺、見てくるわ。
Leona:「ごめん。
Ahsgrimm:「…上じゃんかー。
Leona:「あ、あれ?
Ahsgrimm:「れ〜お〜な〜。
正解は、右上でした。
Leona:「こ、ここっ。ここに間違いないよ!
spit:「せんせー、SPキッツいです。
Leona:「と、とつげきー!
さて、階下に行くと、そこは同じようなフィールドでした。
spit:「ここにスティングっていうのがいるの?
Leona:「まだ。
Farmei:「まだおくですかぁ?
Leona:「うん。
Farmei:「ココははじめて来ました。
Grill:「さっきからずっと初めてだ。
eve:「私も。
spit:「左下に点がある。
Leona:「それ。
Ahsgrimm:「ここ、ワニは?
Leona:「ワニいなかったとおもう。
spit:「ま、いくか、とりあえず…ワニいそうだけど…
Farmei:「いそうですねー。
*7
っていうか…
spit:「…あのー、玲於奈さん?
Leona:「あ、あれー?
Ahsgrimm:「おぅわあ!?キター!?
spit:「焼け!焼くんだ!!グリ!!ヤツは火に弱い!!
Grill:「縦置き出来ません。先生。
spit:「バーカーなー!?
Ahsgrimm:「ぐぉ!?後頭部にいきなり721!?
Leona:「き、キリエエルレイソン!!
Farmei:「す、スピットさんも魔法で!!
spit:Ahsgrimm:「ムリ!!
Farmei:「(ぇ?
spit:Ahsgrimm:Grill:「
地属性だから!
eve:「地属性x火属性=○ 地属性x風属性=X
Farmei:「Σ
Farmei:「はじめからわかっていて!?
spit:「突貫死とは、
そういうものだ!
そうなんだ!?*8
とはいえ、炎魔法士のグリがいる以上、スティングも倒せない敵ではありません。
一行はグリの魔法を盾に、スティングマップを抜けていきます。
Grill:「…あの、SPがもう…
spit:「華ちゃん、ブレスー。
Farmei:「はいー!
Ahsgrimm:「はたらけー。
Leona:「グリムさん、がんばっ。キリエエルレイソン!
Ahsgrimm:Grill:「
(ノД`)ノ
spit:「そんなにうれしそうな顔をするな。
Ahsgrimm:「どこがやねん!
そして到達するは…
eve:「なんか、すごいところですねー。
Grill:「初めてきた…
Ahsgrimm:「俺だって初だ…
spit:「ここはいったいどういうところなんだろ…
Ahsgrimm:「さぁな。
spit:「…調査不足すぎる。
Leona:「私も詳しくはしらないなぁ…
Ahsgrimm:「…ん?ダンゴムシ?
Grill:「あ、ホントだ。
spit:「そーいや、この城とプロンテラの地下は続いているとか、いないとかって噂を聞いたことが…
Ahsgrimm:「玲於奈、これ、つよいの?
Leona:「あ、それは…
ごがすッ!!
Ahsgrimm:「ぬぅあっ!?なんだコイツっ!?
Farmei:「ダンゴムシのくせにっ!?
spit:「プロの地下に続いてるなら、探したら帰れるかなぁ。
eve:「帰れますかねぇ。
Ahsgrimm:「その前に
死に戻りできそうなんスけど!?
なんとか強敵ダンゴムシを倒し、グリムははぁはぁと肩で息をしています。
spit:「マップ下に、赤い点がある。
Ahsgrimm:「絶対
ムリっす。
Leona:「前衛ひとりじゃねぇ…
Ahsgrimm:「前衛3人いてもつらいかと思いますが…どうでしょうか、ギルマス。
spit:「
えー。
Ahsgrimm:「
(死ねとおっしゃる!?
eve:「も、戻りましょうか…
苦笑気味に、イブが言いました。
Grill:「うん、つか、結構な稼ぎになったし。
Farmei:「私も結構入りました〜。
Leona:「私も結構入ったなぁ。
Ahsgrimm:「俺のところも入ってるしな。
spit:「
ちっ。
Ahsgrimm:「おいていこう。
Grill:「そだね。
eve:「じゃ、スピ。
Leona:「しっかり、死んでください。
Farmei:「ポタルだしまーす。
spit:「
ぬぁ!?
立ち上る光の柱の中に、急いでスピットも飛び込みました。
spit:「こんなトコに、ひとりにしないでって!
古城、グラストヘイム。
その巨大な城は、1000年前の巨人族との戦争で廃墟となった、神々の住んだとされる城です。
そしてその場所に住まうモンスターたちは皆、その1000年前の戦争のときから生き続けているという、強力なモンスターたちなのです。
いつしか解かれた、古城の封印。
それがしめすこととは…
ですが、
スピットたちがそのことを知るのは、まだ当分、先のことのようです。