studio Odyssey



くりっぽ、げっとだぜ!!




appi:「スピさーん?

 いつものベンチ前にやって来たアピは、ベンチでぼーっとしていたスピットに向かって、声をかけました。

appi:「生きてますかー?

spit:「…んあ?

 はっと、スピットが顔を上げたかと思うと、

spit:「うあぁぁぁああぁ!? ビタタが!! ビタタがぁ!?

 がくがくがくー!?

Max:「こんな調子。

 がくがくと震えて頭を抱えるスピットを見て、マックスもため息。

appi:「ルキノちゃんがビタタカードをゲットしたのが、そんなにショックだったのでしょうか…
Max:「重傷。

appi:「せっかく、お祝いをかねて、新しいマントを買ってきたのですが…
Max:「お祝いを上げるなら、ルキノにあげるべきじゃ…
appi:「ルキノちゃんは、たぶん装備しないので…

 はいと、アピはスピットにマントを手渡したのでした。

このアイテムは?


spit:「むぉ!?

appi:「これを装備して、次はビタタカードを刺す、クリップを手に入れなければいけませんねー。


spit:「アピ…
appi:「クリップなら、きっとすぐに手に入りますよー。

昔の領主のマント

appi:「ぼろマントの方がよかったですか?

spit:「いや…

 ばっと、スピットはその昔、領主がまとっていたというそのマントを、身にまといました。*1


spit:「なんか、使命感のようなものを託された気がする…

Max:「んじゃ、これスピさんに。

 と、マックスがぽいと投げたのは、木のパンツ。
 モンスター、ポイズンスポアの装備品です。


spit:いらん。


 無論、即答。


くりっぽ、げっとだぜ!!


Ridgel:「して…

 ベンチに姿を現したリジェルさん。
 事のいきさつを聞いての、第一声。



Ridgel:巻き戻りは何時ですか?


spit:「よし、死ね。



 無論、即答。*2



Ridgel:「しかし、巻き戻るとしても、クリップがないと、ヒルクリが完成しませんねぇ。

 ヒルクリこと、ヒールクリップ。

 それは、ビタタカードをクリップというアクセサリに刺したものの事をいいます。たとえカードがあったとしても、それはなんらかの武器防具に刺さなければ、使うことは出来ません。

 そしてビタタカードがさせるのは、アクセサリの種類の防具のみ。
 カードを刺すことの出来るアクセサリは、お店で売っているものでは、ノービスだけが装備できるノービスアミュレットと、それ以外の全職業が装備できるベルトがありますが、ベルトは重量が重く、あまりカードを刺すのには向いていません。

 そこで、多くの冒険者は、クリップという、時計塔に住むアラームが落とすアクセサリにカードを刺すのですが…

spit:「と、いってもクリップないし…

 無論、スピットにアラームは狩れません。*3


Max:「買えば?


spit:「何故、未だにカードが何にも刺さってないと思う?


 レアアイテムなので、そんなものを買うお金もありません。*4


Ridgel:「三回回ってワンといえば、くりっぽをくれてやらんこともないぞー?

くるくるくる


spit:わん。



Ridgel:「プライドないなァ…



Max:「じゃあ、自力で手に入れるしかないね。
Ridgel:「くりっぽがなければ、手に入れればいいじゃない。っと。




 そんなわけで。




いざ、時計塔




 いざ、対決!


 アラーム!!


ゆけ!ベンチ最強の前衛!!





 リジェルさんが。


Ridgel:「おやー?くりっぽが欲しいのは、私ではないような気が…
spit:「気のせいさ。さー、がりがりいくぞー!!


Ridgel:「むむ…

 時計塔3Fを闊歩するスピットに、リジェルさんが、ふと、

Ridgel:「スピットさん。
spit:「ん?

Ridgel:「今、師匠から電波が届いたのですが、事のいきさつを知った師匠、曰く…*5



衝撃の発言


Ridgel:「『オークロードからくりっぽをとれ』と。



spit:「そりゃ、無理だー!!
Max:「普通に、アラームにも勝てないしねぇ…*6


spit:「なにを!!俺だって、本気を出せば、アラームくらいなら…


ばっさりと




 狩られてます。




さすがだ…


Ridgel:「さすがですね。
appi:「青ジェムは、まだまだいっぱいあります。


spit:「いいから、くりっぽだせやー!!
Ridgel:「では、定点狩り、開始ー!
















そして、ベンチ


spit:「うーん…

 で、1時間ばかり狩りをしてみたものの、くりっぽは出ず。*7

 ベンチに戻ってきたスピットたちは、頭を抱えていたのでした。


Ridgel:「あれですね。

 と、リジェルさん。

Ridgel:「ここは、誰かから借金をして、くりっぽを買うというのは?
spit:「今、くりっぽって、いくらくらい?


Max:「310Kで見たよ。


spit:「…そんな大金を借金した日には、夜逃げだな。


 そんなに大金か?


 うーんうーんと悩むスピットです。
 ちょうどやって来たいるるも、話を聞いて、「ほうほう」と唸っていました。

下僕かいっ





 下僕!?


Ridgel:「それは…面白そうだなぁ。


irurur:「マジな目だ…

Max:「そして、実は私はクリップを倉庫にいくつか持っていたりする…



Ridgel:「よし、買った。



Max:「お買いあげ、あり〜。


spit:「なんか、俺の判断を待たずに、話が展開してるんですけど!?

irurur:「仕様です。



 倉庫にいってクリップを持ってきたマックスが、リジェルさんと、スピットの目の前で取引をしています。
 そして、有無を言わさずリジェルさんはそのクリップをスピットに。

spit:「むぅ!?
Ridgel:「いらないのであれば、かまいませぬぞ?


spit:くうぅぅ!!


この、スシのようなアイテムが、くりっぽこと、クリップだっ


Ridgel:「返還は、現物か、310Kですぞ。ふはははは!

spit:「ボク、カテナイヨ…


 借金生活決定。



木のパンツよりはマシですが



 嫌な未来だ!?



spit:「ま、まぁ。そんなことは後で考えるとして!

 借金大王的発言ですな。

spit:「そーちく!

げっとおん、くりっぽー!




spit:「てってれー。


これが、勝利の鍵だ!

spit:「いくぜ!

 スピットはマントを翻し、素早く祈りの言葉を発しました。



spit:「ヒール!!

「ヒール!!


エフェクト出すまもなく…




 スピットの初ヒール、いきなり通りがかりのアコライトに、2倍強の回復力を出され、消える…


spit:「おのれ、貴様!俺の記念すべき初ヒールをー!!

irurur:「あーあー、アコくん虐めない。
Max:「しょぼヒール…
Ridgel:「くくく、借金はちゃんと返して貰いますぞ…

 何はなくとも、みんなの力によって(?)ヒルクリを手に入れることのできた、スピットでした。


 もっとも…

rukino:「一番の立て役者なのに、今回、一場面に出ただけかー。


 なのですが。*8


*1 アピがくれたのは、昔の領主のマント。Mage/Wizが装備できるマントのひとつ。装備すると、AGI(すばやさ)が1上がる。スピットはAGIがないので、本当はあんまり意味がない。
*2 巻き戻り。データの巻き戻りの事を言う。サーバトラブルなどでデータに不整合が起こったときなどに、直近の信頼できるデータに戻すために起こること。トラブルはここのところなかったので、巻き戻ることはなかった。
*3 アラームは上級モンスター。
*4 レアアイテムなどは相場が激しく変動するので価格は流動的ですが、当時のクリップの値段はだいたい、300,000〜370,000z。どうでもいいが、スピットたちがクリップのことをくりっぽと言っているのは誤字ではなく、そう呼ぶため。他に、スシという呼び方もある。グラフィックがにぎり寿司のようだからだ。
*5 リジェルさんの師匠はニルさん。詳しくは、β2日記、「最強のプロンテラベンチ」参照。
*6 オークロード。通称、道。オークダンジョン2Fに住む、ボス。存在自体が、時間沸きのレア。
*7 出るときは、1時間で2個とかでるくせに…
*8 実は、少々、日記用に事実を変えているので、その補足。
 実際には、スピットはマックスから直接クリップを貰っている。変換方法は現物。マックスが使おうとして取っておいたものだからだ。
 で、いつか現物を出さないとなーと思っている矢先、リジェルさんが露天で310K(310,000z)のクリップを見つけてきて(当時としては即買いの安さ)、それをマックスに渡していたのである。
 つまり、310Kのクリップで、リジェルさんはスピットの借金の肩代わりをし、なんか、どっかの悪徳金融みたいなそんな感じな…(以下、自主規制)
 よって、スピットの借金相手は、リジェルさんとなったのでした。
 がんばれスピット!僕らのスピット!
 借金なんか、踏み倒せ!(ダメだろ)