studio Odyssey



spitのプレゼント。




spit:「ふあぁーあ、暇だー。

 今日も今日とて、プロンテラベンチ。
 スピットのあくびが響いています。

appi:「スピさん、暇なのですか?

 と、アピです。
 スピットはあくびをかみ殺しながら、返しました。

spit:「暇。もー、暇すぎて、することない。

appi:「じゃ、じゃあ!

 ぱぁっとアピは顔を明るくして、言いました。

appi:「プティのテイムに行きましょう!光ってる石も、いっぱいです!

プティットテイムアイテム


 アピの手の中には、7個もの、光ってる石。

 竜族のモンスター、プティットを捕まえることの出来る、石です。*1



spit:「んじゃー、行くか。あおさん。

aoiruka:「俺もですかっ!?

spit:「壁確保ー。
aoiruka:「暇と言う、スピさんのHPが減ってるのと、何故かエナジーコートでコーティングしているのを、突っ込むか迷って沈黙していただけなのに…*2



appi:「では、いきましょう!
出撃!


spit:「行きますよー?
aoiruka:「やっぱ、強制なんだ!?



spitのプレゼント。


ゲフェンから、グラストヘイム前マップへ
 さて、ゲフェンに降り立った一行は、ここからグラストヘイム方面を目指します。


appi:「今日こそは、プティをペットにするのです!

 むんっとアピは7つの光ってる石を手に、やる気まんまんです。


spit:「そーいやぁ…
 スピットは帽子をなおしながら呟きました。

spit:「いつだかも、プティをペットにしたいとか言って、テイムに行ったことがあったな。
aoiruka:「へー。

appi:「連敗をずっと続けているので、今日こそは!です!!

 ぐっと、アピは握りこぶし。

spit:「…ちなみに、何連敗?





appi:「…




appi:7連敗ほど…




spit:aoiruka:Σ(゜▽ ゜;ノノ


 そんなに失敗して、諦めないところがすごいです。


spit:「ま、まぁ、今日は7個もあるわけだし…
aoiruka:「今日こそ、捕まえられますよ。



グラストヘイム前、プティマップ


 乾いた笑いを浮かべながら、一行はグラストヘイム城前のマップ、プティマップへとやって来ました。


spit:「テイムするプティは、緑プティだっけ?
appi:「そうです。


 プティには、緑と白の二種類がいます。
 正確には、緑のプティが、地プティ。
 白のプティが空プティといって、全くの別物なのでした。

これは、空プティ

appi:「こっちではない方です。


spit:「ほいほい。
aoiruka:「では、ちょっとプティを探してきますか。

 と、あおさんはプティを探しに…






 ここで、少し、時計の針を進めることにします。





appi:「で、では!行ってみたいと思います!

 光ってる石を手にしたアピが、あおさんを攻撃するプティに近づきました。

レッツ、テイム!


appi:ラスト、1回っ。




 ごめん、もう13連敗まで記録更新。


spit:「るーれっと、すたぁとっ!!
aoiruka:「クリックで止めるのです! SUCCESS!が出れば、テイム完了。プティのたまごがゲットできますっ!!


spit:「って、俺らが説明しても、華がないね…
aoiruka:「タキシードでもきましょうか?


appi:とおぉぉおおぉぉ!



 ぽち。

…

脱力アピ


appi:失敗しました…

とりあえず、抹消。



aoiruka:「なんでだろー。
appi:「なぜでしょう…

spit:「そこまで行くと、ある意味、すげぇな。


 ちょぃと帽子を直すと、スピットはにやりと口許を曲げ、言いました。


キタ!?




 伝説のテイマー、復活!



 実はスピット。ペットのテイミングには、ちょっとばかり自信がありました。

 へっぽこを除き、スピットが今までに捕まえたペットは、ルナティック、スモーキー、ペコペコ、ピッキと、すべて一発勝負で捕獲していたのでした。別に何かコツがあるという訳ではないのでしょうが、何故か、スピットはペットを捕まえるのがうまかったのです。*3

appi:「ほ、ホントですか!?

 アピもぱぁっと顔を明るくしました。

appi:「スピさんなら、捕まえられるかも知れません!
aoiruka:「でも、その前に問題が…

spit:「ん?




aoiruka:光ってる石がありません。



 テイムすると言っても、まずはテイムアイテムがなければ…


spit:「プロンテラに帰還!光ってる石を、手に入れるッ!!
appi:「りょうかいです!


aoiruka:「なんか、ノリノリだー。

 びゅんっと、一行は蝶の羽根でプロンテラへと戻ったのでした。




 さて。

 プロンテラに帰還したところであおさんと別れ、ベンチ前にいたシンを連れ、スピットとアピとシンは、手分けして街の露天を見て回りました。
 とりあえず、何はなくとも、光ってる石を手に入れるのです。

 しかし、一時期は大流行だったペットですが、今では廃れてしまい、テイムアイテムが露天に並ぶことは本当に希でした。
 プロンテラの噴水広場、西門、南門に連なる冒険者たちの露天を回ってみたのですが、光ってる石はおいていません。

shintisu:「オークに行って、ゼノーグ狩った方がはやいんじゃない?

 と、シンから電波。

appi:「ですかねぇ。

 光ってる石はオークダンジョンにいるモンスター、ゼノーグがドロップするのです。
appi:「スピさん、どうします?
spit:「あ?うん、ちょい待ち。

 電波に向かって返して、スピットは眼前の彼女に向かって聞きました。

spit:「と、言うわけで、光ってる石を探してるんだけど、ないです?


たまたま通りがかったシルさんを発見!



Sylphienne:「ありますよ。

 ちょいと小首を傾げて、シルさんは言いました。


spit:買います。

 即答。
 即、お財布取り出し。

 露天の平均価格である、20K(20,000z)を払い、スピットはシルさんから光ってる石を売ってもらい、ぼそりと彼女に耳打ちしました。






spit:「リジェルさんには、内緒です。





まてまて!




 借金返せよ!先に!!




 良心の呵責とか、そんなものはともかく、再びプティテイムに、一行はプティマップに向かいました。



spit:「さぁ、いくぞ!伝説のテイマーの力、今こそ見せてくれるわ!!

 シンに攻撃をするプティに向かい、スピットは光ってる石を使いました。


appi:「るーれっと、すたーとっ!!


ルーレットで、ゲットだ!




spit:そこだあぁぁッ!!



おや?




spit:「…



spit:死ね!プティ!!

 杖の先から迸った雷弾に、プティはばーんっとはじき飛ばされました。


shintisu:「失敗か…
appi:「あぅあぅ。

spit:「おのれ!プティ!!













 シンと別れ、再び、ベンチ。
 はぁとため息のアピに、ぷんぷんと不機嫌なスピットのふたりが座っています。

ベンチに戻り

appi:「スピさんでも、ダメでしたかー。
spit:「くそう、意地でも捕まえてやるぞ、プティ…

appi:「プティは緑ですけど、へっぽこではない緑なのかも知れません。
spit:「生意気な…


 スピットは腕を組んで、ふんと鼻を鳴らしました。
 アピは仕方がなくて、ちょっと苦笑するようにして、言いました。

appi:「また、光ってる石を手に入れたら、行きましょうね。
spit:「…うむ。


appi:「それでは、今日はもう失礼します。
spit:「ん。
appi:「じゃ、また今度、再チャレンジしましょうね。

 そう言って手を振ると、アピは噴水広場の方に向かって歩いていきました。
 スピットも帽子に手をかけて軽く会釈をして、その背中を見送りました。












spit:「むぅ。

 その背中が、とぼとぼという感じがして、スピットは口を曲げました。

 目を伏せ、考えます。
 そう言えば、アピがものをほしがるなんてことは、今まであまりなかったような気がします。

 しかも、14連敗までして、プティをテイムしようとしていたとは、スピットも知りませんでした。

spit:「むぅぅ…

 腕を組んで目を伏せると、スピットはうなりました。

Max:「何を唸ってるの?

 と、そこにハンターのマックスが現れました。

spit:「なんだ、マックスか。
Max:「なんだとはなんだ。
spit:「光ってる石とか、持ってない?
Max:「光ってる石はないなぁ。

 首をちょいと傾げ、マックスは聞き返してきます。

Max:「プティが欲しいの?スピさん、へっぽこがいるじゃん。
spit:「いや、俺が欲しいんじゃなくて、アピがほしがってるんだよ。
Max:「あー。

 ぽんと手を打って、マックスは言いました。

Max:「緑だからか。

spit:「なんだそりゃ。

Max:「あたしは持ってないけど…
 と、マックス。
 後ろに立っている露天を指さして言いました。



Max:「あの露天で売ってた。



spit:なにょ!?

 ばっとスピットはその露天の商品に目を走らせました。
 するとそこには…


露天に、光ってる石が!?


 考えるよりも早く、スピットはそれを買っていました。




Max:借金は?



spit:踏み倒す。


 返せよ!?


手に入れたら、使うのが当然でしょう!


Max:「また、無駄遣いする…


spit:「へへんっ。

 スピットはちょいと帽子をなおして立ち上がると、言いました。



spit:「プティ捕まえてくりゃ、無駄じゃネェだろ?




再チャレンジ!

 お財布の中は、すっからかんです。
 ただでさえ、借金を返さなければいけないはずで、お金を極力使わないようにとしているはずのスピットです。

 でも、光ってる石を買ってしまいました。

 今日はこれだけでもう、40,000zも使ってしまいました。
 さすがに、仲間とはいえ、これではリジェルさんに申し訳ないという気持ちも、ちょっと、ありました。


 スピットはゲフェン、プティマップにたどり着くと、バックの中からブルージェムストーンとそして、光ってる石を取り出しました。

spit:「…これで失敗したら、洒落にもなんねえな。
 帽子をちょいとなおして、にやり。
 眼前から、緑プティが迫っています。

spit:「セイフティウォール!!

 しゅんっと立ち上った光の柱が、スピットの身体を包みます。
 プティの攻撃が、光の壁の前に弾かれ始めました。

spit:「さて…ネタとなるか、逃亡生活の始まりとなるか…


 スピットは光ってる石をプティに向けて使いました。


spit:「勝負だ! へっぽこ緑竜!!


失敗!?




 失敗か!?

成功!?



 成功か!?









果たして!?



 勝敗の行方は!?

















 さて。
 一夜明けて、ベンチ。

 今日もとことこ、アピがベンチにやって来ました。

spit:「よ。
appi:「こんにちわ。


spit:「手を出せ。


appi:「はい?

spit:「いいから、出せ。
appi:「?

その卵は…



 ぴっと差し出されたアピのその手に、スピットはひとつの卵をのせました。

緑プティットの卵

appi:「捕まえたんですか!?
spit:「俺はお前、伝説のテイマーのプライドがあんだよ。


 そうです。

捕まえていたのでした!!


 あの時のルーレットは、あのSuccessで、止まっていたのでした。


spit:「2回目で、ちゃんと成功してやったぜ…ざまぁみろ、プティットめ…

 ふんっとスピットは鼻を鳴らしてみましたが、ちょっと、うまくできていませんでした。


なんだったんでしょう…



spit:「へたっぴだからじゃん?

appi:「あはは。そーかもしれないですねー。


 うれしそうに笑いながら、アピは言いました。「私、ちょっと孵化器とペットフード買ってきます」

spit:「いてら。

 速度増加を自分にかけて走っていくアピの後ろ姿を見送って、スピットはふぅと息を吐き出しました。
spit:「まー、喜んでるみたいだし…

 バックの中のお財布は軽くなってしまいましたが、ま、また貯めればいいやと、スピットは笑うのでした。

Sylphienne:「スピさん、こんにちわ。
spit:「あ、シルさん。

考えてることは一緒でした



 二人、同時に言って、思わず吹き出しました。

 と、そこにアピが帰ってきました。


appi:「では、さっそく、ふ化させてみたいと思います!

 携帯用孵化器の上に、プティの卵を置き、スイッチを…



ふ化、プティ!

spit:「なんか出てきた!

Sylphienne:「プティさんです。
appi:「わーい。

 アピは、卵から孵ったその竜の子どもを、ぎゅっと抱きしめて笑っていました。











Ridgel:ほーう?





なんてタイミングで!?

Ridgel:「何か、見慣れない生き物が見えますね?

spit:「あ、いや、これは、そのー…

appi:「スピさんが、捕まえてきてくれたのです。



Ridgel:ほっほーう?

衝撃発言



spit:すらっしゅ しょっく!!



Sylphienne:「いえ、あの、リジェルさん、これにはその、深いお話が…
Ridgel:「いやいや、いいのですよ。借金返済なんて、いくら遅くなっても。いやー、プティですか。そーですか。

spit:「ぐ…

Ridgel:「アピさん、プティ欲しがってましたしねぇ。
appi:「はい。スピさんが捕まえてきてくれたので、もう、うれしくて。
Ridgel:「ほほー、いい話ですねぇ。









Ridgel:(ニヤニヤ。


にやにやリジェル

appi:「なんでにやにやするんですかー。
spit:「そ、そうだっ!アピが14連敗もしてるっていうから…


Ridgel:「アピさんのためにということですね?
spit:「むっ!? いや、これは…俺も一回失敗して、テイマーとしてのプライドというかなんというか…


このこの〜


Ridgel:「にくいですね、このこの〜。

Sylphienne:「リ、リジェルさん〜。


Ridgel:「これで、借金がなければ、完璧だったんですけどねー。

spit:「ぐ…
Ridgel:「はっ!これはあれですか!?

 リジェルさんははっと気づいたように、言いました。
Ridgel:「つまるところ…





Ridgel:「appiさん「ぱぱー(?)プティットほしいー。


アイ○ル!?




Ridgel:「と、そういうことですか!?*4


 どういうことですか!?


Sylphienne:「(リ、リジェルさん〜。



Ridgel:「見つめ合う、スピットさんとプティット…


そのバージョン!?


Ridgel:「そして、野生のプティットに囲まれ…



…いつものオチかよ
まだそのネタ引っ張るのか!?




 何の!?

いや…それは…




spit:「結局、死にオチなのかよ!?


Ridgel:「いやー、今回は、死に様をさらすオチでなくてもよいでしょう。にやにや。

spit:「にやにやすんなッ!

 むきーと腕を振り上げてスピットは言いましたが、リジェルさんはにやにやと笑っているだけでした。
 アピもシルさんも、笑っています。

 生まれたばかりのプティも、赤い目を丸くして、アピの膝の上で、ベンチを囲む面々を、くるくると見回していました。

 ぼぅっと、ちっちゃな炎を吐き出して。

spit:「あつッ!?
appi:「ああ、ダメですよー。プティー。

spit:「んにゃろう!上等だ!!やるかテメェ!!
Ridgel:「結局、死にオチになるから、やめておいた方がいいかと思いますが?


 今日もベンチは、いつも通りです。*5


*1 テイムアイテム。光ってる石は、モンスター、プティットのテイムアイテム。これを使うと、モンスターをペットにするルーレットが回る。クリックで、ルーレットがSuccessで止まると、たまごが手に入る仕組み。テイミングについては、「その名はへっぽこ!」参照。
*2 スピットの身体の色がこの色に変わっている時は、エナジーコートという魔法を使っている状態。戦闘態勢みたいなもの。実は、出かけて死んで、回復中で暇だったとも言う。
*3 高レベルモンスターのテイム例がないですが、そもそも、テイムアイテムがないので、テイムしたことがないのです。あー、でも、ムナックとイシスはした。1回だけ。失敗。
*4 CMネタは風化するぞ…(ア○フルかよ)
*5 アピのプティはスピットの捕獲されたことから、プティの中でもどんくさい奴だったのではないかと、もっぱらの噂。ちなみに、スピットはこのプティとSWなしでガチしたら、死ねる。