studio Odyssey



受け継がれる剣。




派手な…


 初っぱなから来てます。


spit:「ゆけー!壁軍団!!

aoiruka:「壁か!?壁なのか!?
Str:「久しぶりに出てきたと思ったら、壁なのか!?


karyo:壁です。*1


spit:「そんなわけで、今回は、迦陵ちゃんのレベル上げの回なのです。


受け継がれる剣。


 ここはコモドの東。
 パプチカ森の境界。通称、猫マップ。*2

 経験値がよく、タゲ移りのしない敵、猫モンスター、ワイルドローズが住むこの場所は、剣士・シーフ系や聖職者系の、スパルタ育成場として知られています。

aoiruka:「ぼー。

Miss!!


 あたってません。



 先ほどまではシュトも一緒になって、みんなで迦陵ちゃんのレベル上げを手伝っていました。


命令する!


spit:「さー、がりがりいくのだ!


 一部、そうでない人もいますが。


 とにもかくにも、一行はレベル上げのために、猫や弱ワニを叩きます。*3


karyo:「えい!やあ!とう!!


aoiruka:「うーん、いい天気だ。
spit:「まったくだなぁ。

 あおさんが壁になって、迦陵ちゃんが叩きます。
 たまにダメージを食らったとき、スピットがヒールを唱えます。

aoiruka:「あー、今、電波が届きました。
spit:「ほー。誰から?

karyo:「たー!てー!やー!

aoiruka:「マックスさんが来るようです。
spit:「マックスも、暇なんか。



 と、しばらくすると…

Max:「ばんわー。

みゃーみゃー、鳴きます!

Max:「痛っ、今、連続で食らった!?*4
aoiruka:「なむー。
spit:「ひーる〜。

karyo:「バッシュ!バッシュ!!*5


aoiruka:「そういえば、スピさん、ヒルクリ手に入れたんですねぇ。
spit:「ふはははは。無敵。
Max:「借金生活だけどね。

karyo:「SP切れたー!?

Max:「スピさん、マニピ。*6
spit:「ねぇよ!!
aoiruka:「プリがいれば、もうちょっと楽なのかなぁ。
spit:「ブレス*7もあれば、多少は楽かな。
Max:「迦陵ちゃん、もうすぐ転職?


karyo:「あと、1レベル。


spit:aoiruka:Max:いつのまに!?



karyo:「正確には、あと、6.1%。


spit:「そういうことは、早く言え。

 と、スピットはむにむにと、電波を飛ばしました。
 すぐに、反応が返ってきました。

spit:「すぐ来るってよ。
Max:「誰が?
spit:「息切らしてやってくるかも知れないぞ。





支援部隊、到着





 HP!?


appi:「サンダルマン要塞で、ゴブアチャに虐められました。*8
spit:「ニューマないしな…

appi:「そんなわけで、ブレス!速度増加!まぐにふぃかーと!!

karyo:「おおっ!あたりやすくなった!!


appi:きりええれいそーん!!

 と、敵の攻撃をある程度吸収する光の衣が、きらきらと迦陵ちゃんの体を包み込みました。

spit:「いや、かける相手、あおさんだろ。


 壁なので。


appi:「支援アイコンを埋め尽くしてみようかと。

 むんっとアピは口を結んで言いました。*9


 そして、そのまま狩りを続けること、数分…


ついに!?

karyo:@0.1〜。


aoiruka:「ついに、長い修行を終えるときが…
spit:「うむ…


karyo:「これで最後だ!くらえ!!


ジョブレベルアップ!

 と、その瞬間、迦陵ちゃんの頭の上で、祝福の天使が舞いました。

spit:「キター!!
aoiruka:「おめー。
Max:「おめー。
appi:「おめでとうございます。

karyo:「ありー。


Max:「で、これ、どうする?
spit:「ん?




よってたかって、猫イジメ





 一瞬のうちにワイルドローズを倒すと、スピットは皆に向かって言いました。

spit:「では、ベンチへ帰投!
aoiruka:「そして、転職ッ!!

karyo:「長い道のりだった…



 剣士は修行を続け、ジョブレベルが40になると、騎士に転職することが出来るようになります。
 騎士になれば、ペコペコに乗ったり、より強力なスキルを使ったりが出来るようになります。

 そして、その騎士になるには、騎士転職試験をしなければいけないのです。
 その試験は、実技の他、筆記テスト、そして忍耐テストなどがあるのですが…











 「騎士転職試験の実施は、明後日からです」


 プロンテラ騎士団にあった張り紙を見て、スピットは叫びました。

spit:「うわーん!! せっかく、騎士転職試験に必要になるからって話を聞いて、アイテム、用意してあったのにぃぃぃぃ!!

結構、大変なんですよ?


 ご苦労。*10


 そんな訳で、プロンテラ騎士団。
 アピとマックスと別れ、変わりにベンチ前に来ていたイブ、リジェルさん、ぷちと共に、一行は迦陵ちゃんの転職野次馬です。


eve:「そういえば、スピ。
spit:「ん?
eve:「管。
spit:「は?


aoiruka:ああああっ!?

 転職の申請をしている迦陵ちゃんを待っていたみんなの中、あおさんが突然声を上げました。



aoiruka:直ってる!?


ば、ばかなー!?



 管がッ!?


Ridgel:「またひとつ、歴史の闇に葬り去られた重力語…
aoiruka:「やってくれる…

spit:「正しいんだけど、悲しいのは何故だろう…
eve:「コモド後だったかな。
putiLeona:「くだーくだー。*11



karyo:「では。

 と、申請書を書き終えた迦陵ちゃんが言いました。

いざ、転職


spit:「いけー。
Ridgel:「どぎとき。



 そして無論、



ある意味、お約束



karyo:「ささっ。


spit:かわされた!?*12


eve:「おめでとー。
putiLeona:「おめー。

Ridgel:「派手スキルはないが…ツーハンドクイッケン!!
aoiruka:「オートカウンター!!

祝っているんでしょうか…



Ridgel:「…祝ってるんだろうか、これは。

spit:「少女を襲う、騎士たちの図。

Ridgel:「へっへっへ。嬢ちゃん、痛い目を見たくなかったら…
spit:「身ぐるみ剥がされたくなければ…

最近、悪役が板に付いてきたとか…





 悪役ですか。


putiLeona:「それじゃー、軽くレベルアップにでも。
aoiruka:「モロクで、ミミズ?
eve:「サンダルマンで、サンドメン?
putiLeona:「ピラで牛 。(≧ω≦)b
Ridgel:「無茶な。


putiLeona:「ワープポータルー!!

 と、ぷちの祈りの言葉に、光の柱が立ち上りました。

そんな質問は、ナンセンス



spit:「どっか出た!
Ridgel:「追えー!!


 と、一行が飛んだのは、砂の町、モロク。

spit:「したらば、ミミズかね。
aoiruka:「ですかね。

spit:「んじゃ、南門外に集合ー。

 一行は、モロク南マップでミミズ型モンスター、ホードを叩くため、モロクの南門外に集合しました。

Ridgel:「ミミズかー、久しぶりだなー。
aoiruka:「あ、明日、予定あるんだ…ワスレテタ…
Ridgel:「徹夜で。
aoiruka:「実は、今日は忘れていて、すっぽかした。
eve:「ダメじゃん。
spit:「あー、そうだそうだ。

 と、集合したみんなに、ぽんっと手を打って、スピットは言いました。

spit:「転職祝いを渡すのを忘れていた。
putiLeona:「あー、倉庫に何もない…
karyo:「ん?

spit:「とりあえずは、鋼鉄を一個。
karyo:「ありー。
spit:「まぁ、これでクレイモアでも作れ。

 騎士専用の武器、クレイモアという両手剣は、作るのに鋼鉄が必要なのです。
 クレイモアそのものは、スピットが手に入れることは出来ません。最も、作ってもらうだけのお金もないのですが。

spit:「それから…

 そしてスピットはマントの後ろからそれを取りだし、大地に刺しました。

大地に突き立てられた、その剣は…


spit:「うちに伝わる、由緒正しい、剣だ。

 大地に突き立てられたのは、大振りのツーハンドソードでした。

 使い込まれ、その柄は少しすり減ってはいましたが、刃は新品のそれと比べても、見劣りすることなく、モロクの強い陽光の中に輝いていました。


spit:「大事に使うように。
Ridgel:「なぜ、そんなものを…
spit:「しかも、スロットが2つ。
aoiruka:「s2ー!?
Ridgel:「ますますもって、何故ー!?

karyo:「ありがとー。

 そして、迦陵ちゃんは大地に突き刺さったその剣を抜きました。

spit:「うむ。騎士はs2 2HSと、昔から決まっているのです。
 にやり、スピットは笑います。

spit:「うちで、次に騎士になったやつに、やろうと思ってな。とっておいたんだ。大事にしろよ。
eve:「あー。

 イブが、そのツーハンドソードをまじまじと見て、納得したようにぽんと手を打ちました。

eve:「そーゆーことか。

putiLeona:「?
aoiruka:「なんでしょう?
Ridgel:「さて?

spit:「そーゆー事だ。

 にやり、スピットは笑うと、皆に向かって言いました。*13

spit:「では、ミミズで、レベル上げー!


「おー!!








 一行はモロク南マップで、ミミズこと、ホード狩りをはじめました。

 さすがに、転職直後とはいえ、騎士です。
 リジェルさんから借りた火武器を手に、がんがんミミズを狩っていきます。

spit:「ぶーぶー!俺があげた、2HSはー。
karyo:「s2だけど、未精錬だし…
Ridgel:「それは、火武器で殴った方がつよい…
eve:「今時なら、せめて、+4までは精錬しておくべきだったねぇ…
spit:「って、俺、装備できねーし。
putiLeona:「(ぽん


 とかやりながらミミズを狩っていると、ぽろり。
 ミミズが、太っているミミズというアイテムを落としました。

aoiruka:「お。
Ridgel:「お。おめー。


 太っているミミズは、モンスター、ペコペコのテイムアイテムです。
 ペコペコというのは、騎士が乗っている、大型のダチョウのようなモンスターで、当然、騎士になった迦陵ちゃんも、資格さえあれば、お金を払って、騎士団からペコを借りることが出来るのですが…


aoiruka:それで、ペコに乗ろうか。

そんな、行き当たりばったりな!?




 今ここに、野生のペコペコを手に入れんとする騎士が!?



spit:「えー。ペコ乗るのー。
 ぶーぶーとスピット。

spit:「騎士の女の子は、ペコに乗らない方が可愛いのにぃ。*14
eve:「でも、ミミズ出たしね。
Ridgel:「運命ですな。
aoiruka:「宿命です。
karyo:「ぜったいです。


spit:「ぷー。

 スピットはふくれっ面です。

aoiruka:「いや、でも、ペコ、捕まえられるかわかりませんし。
Ridgel:「ダメなら、騎士団から借りればいいですし。


spit:そんな事は、許さない!!

putiLeona:「おじちゃん、いじわるー。
eve:「で、迦陵ちゃんが失敗するよう、画策する、と。


spit:そんな事は、許さない!!






 どっちだよ!?




spit:「やるからには、モンスターは捕まえる!!





 テイマースピリッツ!?



spit:俺の、Mob情報が唸るぜ!!

死にスキルっていうな!

 一行は、ペコペコをテイムするため、モロク東マップに移動しました。
 そしてスピットはペコペコを見つけるやいなや、「うりゃー!」と、杖で数度殴りつけ、


spit:「うなれ、俺のMob情報!!


そしてまた、新たな伝説が…

 唸りすぎ。


karyo:「では、行きます…

Ridgel:「1回限りのチャンス!

aoiruka:「るーれっとすたーと!
Ridgel:「クリックで止めるのです! SUCCESS!が出れば、テイム完了。ペコペコのたまごがゲットできますっ!!

Ridgel:「と、これは我々が説明しても良かったのだろうか。
spit:「タキシードでも着る?*15



karyo:えいっ!





生まれましたッ!




 お。



 ぽんっと、ペコペコが卵に変わり、砂漠の上にころんと転がりました。

karyo:「一発成功!
spit:「おめーって…



spit:そうじゃないだろ!俺!?

eve:「ペコ否定派、テイマーのプライドの前に敗れる。

 「騎士の女の子は、ペコペコに乗ると可愛くない!」とこぶしを握りしめて言っていたスピットでしたが、ペットテイムとなると、別だったのでしょうか。卵を手に入れた迦陵ちゃんに肩越し振り向いて、苦虫をかみつぶしたような顔をして見せました。*16


karyo:「ふふふ。ペコ乗ろう。
spit:「…まぁ、仕方ねぇか。

 スピットは軽く口を曲げると、ちょいと帽子の位置を直しました。

putiLeona:「早速ふ化して、名前つけよー、名前ー。
karyo:「名前か。何にしようかな…
aoiruka:「そういえば、迦陵さんは、槍スキルはとるの?
Ridgel:「あー、最近は槍騎士が流行ですからなぁ。ピアースは、大型のモンスターには、強力ですし。
putiLeona:「ぴあーす。
karyo:「それにしよう。


spit:aoiruka:Ridgel:はい!?

ぴあーす、ここに誕生!


Ridgel:「うむうむ…槍騎士のいい相棒になるであろう。
aoiruka:「迦陵さんは、両手剣騎士…
Ridgel:「そうなの!?

spit:「まぁ、面白いから、いいんじゃネェか?


 ぴあーすを連れ回して遊ぶ迦陵ちゃんと、そしてそれにじゃれつくぷちを見ながら、皆は笑っていました。

 砂漠を、乾いた風が、軽やかに吹き抜けていました。*17


*1 壁。モンスターは一番最初に攻撃した人を攻撃し続けるので、強い人が先に殴り、弱い人に後から叩かせること。手っ取り早くレベルをあげるのに、よく使われる。
*2 というより、通称以外の名称を知っている人間がどれだけいるかとか、聞いてはいけない。
*3 弱ワニ。アリゲーターというモンスター。強ワニがアノリアン。弱ワニと言っても、結構強い。
*4 Ragnarokには、Fleeというステータスがあって、敵の攻撃をかわす力のようなステータスがある。このステータスいかんでは、95%の確率まで、回避が可能になる。
*5 バッシュ。剣士のスキル。いわゆる、必殺技みたいなもの。大ダメージを与えることが出来る。
*6 マニピ。マグニフィカートのこと。昔はマニピカットと言ったので、今でもマニピという人は結構多い。自然回復力をあげるプリーストのスキル。
*7 ブレス。ブレッシング。祝福によって、ステータスをあげる。ブレスがあれば、攻撃のあたりやすさのステータス、Dexも上がる。
*8 サンダルマン要塞遺跡については、「天下無双の冒険者たち!」や、「目指せ!幻想の町!!」あたりを参照。
*9 支援や、状態変化のアイコンが、EP2.0からは画面右側に出るようになった。(そういえば、そんな話はしたことがない…)
*10 実は、この2日後に亀島パッチこと、タートルアイランドパッチがあたる事が決まっていた。このパッチで、EP2.5となり、新たな冒険の舞台、タートルアイランドが実装されるとともに、敵スキルや、二次職転職クエストが実装された。SSは、騎士転職に必要と言われていた収集品のいろいろ。
*11 詳しくは、「街巡り 〜プロンテラ〜」参照。
*12 ある意味、お約束。詳しくは、「少女には剣の輝き!」を参照。
*13 そういえば、あのエピソード以降で剣士から騎士になったのって、迦陵ちゃんがギルドでは初…
*14 だよな。(誰に同意を!?)
*15 とりあえず、これ、お約束にしておこう…
*16 すまん!みんなっ!!許して…って、うわー、なにをするきさまらー。
*17 そんな訳で、迦陵ちゃんが騎士に転職。先に公開された、onBook EP2.0では、既に騎士ですが?とか、そんなツッコミはなしです。つーか、ぴあーす、出てこないしっ。(素で忘れていただけだ)
 ちなみに、裏話としては、執筆中に転職したので、onBook EP2.0では騎士なのです。
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 次回は、ついに実装!亀島こと、タートルアイランドパッチ!!
 ミドカルドのモンスターたちが、なんと、凶悪なスキルを使うようになって、スピットたちは…