studio Odyssey



新たなる敵の力!?




 スピットは王宮に呼び出されたのでした。

 昼下がりのプロンテラ城。
 広場には、あふれんばかりの冒険者たちの姿がありました。

 スピットはきょろきょろと辺りを見回します。

 集まった冒険者たちは皆、その体の何処かにエンブレムをつけていました。
 そうです。

 この場所に集まった皆は、このミドカルド大陸を冒険する冒険者たち。
 その中でも、ギルドマスターの者たちだったのでした。

 きょろきょろと辺りを見回すスピットは、その視界の中に、知った顔を見つけました。
「あー、ニルさん」
「お、スピットさん」

 それはハヤテさんやリジェルさんのギルド、RachetyRamblersのギルドマスター、ニルさんでした。

「しかし、一体なんでしょうなぁ」
「なんだろうねぇ」

 ミドカツ王国に所属するギルドのマスターたちが、こうして一堂に会することなど、初めてでした。
 なんでも、王様から、とても重大な発表があるという噂でしたが、それがいったい何なのか…

「静粛に!!」

 広場を見おろすポーチの上から、声が響きました。

「国王、トリスタン三世より、すべてのギルドマスターに重大な発表がある!!」


 そして現れたトリスタン三世は、すべての冒険者たちにづけたのでした。




 それは、新たな戦いの始まりを予感させた。

 魔物達の間に生まれた、新しいスキル。
 冒険者たちがつかうそれと同じ力、いや、それ以上の力を使う魔物達が、徐々にミドカルドに現れ始めていたのだった。

 王は、この新たなる力に対抗するため、すべてのギルドマスターに向けて、勅命を発したのであった。

 魔物達に対抗するために作られた砦を、冒険者たちで奪い合えと言うのである。
 真の力を持った、勇者となりうる者たちに砦を任せ、来るべき時に備えようとする王の意志に共感するもの、また、反感するもの、冒険者たちの態度は様々であった。

 だが、それはただひとつ、はっきりしたことがあった。


 それは、新たな戦いの始まりを予感させたのだった…*1


新たなる敵の力!?


 ぼーっと、ベンチに座って、スピットは渡された羊皮紙の紙切れを眺めていました。
ギルドスキルウィンドウ

 その書類にサインをして提出すれば、「正規ギルド承認」を得、攻城戦に参加することが出来ます。そして、スピットたちのギルド、Ragnarokもまた、その正規ギルド承認手続きを行う資格を有していたのでした。*2


spit:「ったって、冒険者同士で争うことに、興味なんかないしなぁ…

 ぽつりとつぶやき、スピットはそれを鞄の中にしまいました。

spit:「そんなことより…

 すっくと立ち上がり、スピットは帽子を直して、にやり。


spit:「魔物たちがスキルを使うらしいじゃねぇか。

 スピットはさっそくと、街の外へと飛び出しました。



エンジェリンが!?



spit:セイフティーウォール!?*3


攻撃じゃないけど…



spit:「ホロンが、サイトー!?*4


何が!?


spit:「なんか、詠唱してる!?


ユピテルサンダー!



spit:なにぃ!?*5


取り巻きは、空プティ


spit:ミストレスかよ!?




spit:「しかも、俺よりつええ。











spit:「よし、落ち着け、俺。

 スピットは、ふうとひとつ深呼吸。

spit:「たしか、コモドに、新しいアザラシみたいなモンスターが出るようになったって言ってたし、いってみよう…水属性なら、もしかしたら経験値がウマーな…






後頭部直撃



spit:誰だよ、オマエ!?*6




spit:「しかも、後頭部殴打で、即死ですよ…






 仕方なくベンチに戻ると、ベンチにはウィータといるるとリジェルさんがいました。

 そして、三人はなにやら、こそこそと話しているではないですか。

spit:「なに?なんの悪巧み?

Ridgel:「悪巧みとは失礼な。

irurur:「ぉ、丁度いいところに。

 と、いるるは言いました。


irurur:「今、スフィンクスダンジョンで、青箱が大量に出るのですよ。いきません?
uxi-ta:「なんでも、何かがおかしいんじゃないかってくらい、でるんだって。

 青箱とは、古く青い箱というアイテムです。
 この箱は、開けるまで何が入っているかわからないというアイテムで、中には数百万という金額にもなるアイテムが入っている事もあるという、夢見る冒険者たち垂涎のアイテムなのでした。

 そして、当然…



スフィンクスダンジョン!



 めざせ、青箱ドリーマー!!


 そんなわけで、スフィンクスダンジョンです。

 青箱を落とすレクイエムがたくさんいるのは、ここの地下3階。


spit:「面倒だから、1階と2階は、ハエの羽根でかっとぶか。*7

 スピットの提案に皆も頷き、ハエの羽根を使い、飛びます。
 びゅんっと飛んだスピットは、

spit:「ふ…

 2階の入り口近くにワープし、「これは、いちばんだな」と、たったかたったか、残りの距離を走り…



なにぃ!?


 眼前に現れた!?


Ridgel:「信じられん。
spit:「いちばんだと思ったのにー!?



 遅れて、三番手にやって来たのはいるる。

irurur:「三番か…
spit:「ビリっけはウィータだ。

irurur:「あ、そだ。来る途中で拾ったので、あげます。
 と、いるるはぽいと、それを投げました。


いらんいらん


irurur:「俺もいりません…

spit:「青箱とりにきたんだっつーの!

 最後のウィータと合流し、スピットたちは2階へと降りていきます。


spit:「2階も、面倒だから、ハエワープで…
Ridgel:「ほい。
irurur:「では、ジャンプ!

 と、皆が飛んだ時でした。



ブラックアウト?


spit:「あれ?
Ridgel:「おや?
irurur:「真っ暗?
uxi-ta:「なにが?






 ふと気がつくと…



魚=うお




uxi-ta:「おやー?


 そこは、スフィンクスダンジョン入り口のあるマップの入り口でした。

 走って、スピットとウィータはスフィンクスダンジョン入り口へと向かいます。
 と、そこにはいるるとリジェルさんの姿。

同じような光景が…



Ridgel:「不思議不思議。
irurur:「何故か。
uxi-ta:「謎だ…



spit:「あああっ!?



ぷちロールバック




 巻き戻り!*8



spit:「き、気を取り直して、とつ、げき!
Ridgel:「ではまた、1階はハエで…

 巻き戻り前と同じように、びゅんっと飛んだスピットは、

spit:「ふ…

 2階の入り口近くにワープし、「これは、いちばんだな」と、たったかたったか、残りの距離を走り…



なんで!?



 後方に現れた!?


Ridgel:「ふ…
spit:「デジャヴ!?*9


 ともかく、一行は2階もハエの羽根でかっとび、3階入り口前。

irurur:「あ、そうだ。
 思い出したように、いるるが言いました。

irurur:「マーターは、ソニックブローを使ってくるので…
Ridgel:「SBー!?*10

uxi-ta:「マルディユークは、魔法使ってくるっていうし…
spit:「魔法ー!?



spit:Ridgel:たのしそうだ。


 そして、3階に一行は飛び込みました。


食らってるー!?


Ridgel:「ぎゃー。

 マルディユークのファイヤーボルトがリジェルさんを襲いました。

spit:「ああっ!!



Ridgel:たのしー!!

 でも、騎士のリジェルさんの前には、たいしたダメージと言うわけでもなく。



uxi-ta:「そっちいった!!

ソニックブロー!!


spit:「ぎゃー!?

 マーターのソニックブローが、スピットを襲いました。
 8連打の攻撃に、スピットの身体はくるくると回転し…



spit:たのしー!!



spit:Ridgel:「かりまくれー!


 そんなこんなで、一行は並み居る敵を蹴散らしていきます。







 小一時間も狩りをした頃でしょうか。

 ぽつり、スピットは言いました。

かなり惨殺しました…



irurur:「お、おかしいな…平行世界*11では、すごい勢いで出たのに…

spit:「思うんだけど…
Ridgel:「なんでしょう?



spit:「さっきの、デジャヴ現象、あやしくない?

Ridgel:「再起動で、テーブル、直されましたかな。
irurur:「ありうる…
uxi-ta:「裏事情だー!?*12


 なんて話をしていると、ひゅんっと、ハエの羽根で誰かがスピットたちの後ろにワープして来ました。

ハエ運のいい日…

Max:「なんでいるの?
spit:「失礼な。
uxi-ta:「青箱探しに来たのです。
Max:「あー。
irurur:「マックスさん、ずっとここにいました?
Max:「うん。
irurur:「青箱、出まくってませんでした?


Max:「出てたよ?




spit:Ridgel:「おのれ、敵の陰謀か!?*13



irurur:「一回、落ちたときですかねぇ…
uxi-ta:「かもね。


spit:「ふーむ…

 スピットはうなりました。

spit:「ま、出なくなっちゃったモンはしょうがない。それはそれとして…

 くるり、スピットは皆を見回して言います。




spit:「なんか、俺のSPの回復速度が、恐ろしい速度なのだが、これは何故?

 さっきから、いくら魔法を撃っても、スピットはSPが減らなくて、変だなぁとずっと思っていました。
 魔力の元となるSPが、どんなに魔法を使っても、半分以下になることがありません。それどころか、1/3減ることすら、ありません。


irurur:「SP回復が、速くなりました。
uxi-ta:「回復速度が、変更になったの。
Max:「常時、集中つかっても問題ないから、すごくいいよ。
irurur:「常時ツーハンドクイッケンでも問題ありません。*14





spit:


 スピットは魔法を唱えました。



spit:ロードオブヴァーミリオン!!


脅威!?






spit:「常時、LoVが撃てるわけですが…



Ridgel:「無駄な漏電力だー!?
irurur:「猫に小判。スピさんにSP回復向上。

spit:「無限、LoV!!
uxi-ta:「やめー!!*15



 新たな力を手に入れた魔物達。
 そして、新たな力を手に入れた冒険者たち。





 それは、新たな戦いの始まりを予感させたのでした。


spit:うぉ!?

マテ


uxi-ta:「でも、死ぬときは死ぬ、と。
Max:「スピさんだしね。
irurur:「オチもついたし、戻りますか。
Ridgel:「ですな。


spit:「かなりマテ。



*1 そんなわけで、今回からエピソード2.5、タートルアイランドパッチです。まぁ、EP2.5っていうくくりは、ないのですが、このパッチで、亀島こと、タートルアイランドと、敵スキル、ギルド攻城戦が実装されました。
*2 ちょいと脚色してありますが、どういう事かというと、ギルドにもギルドレベルというものがあって、そのレベルが上がることによって、スキルを取得することが出来るのです。ギルドRagnarokは、ギルドレベル3。ステータスポイントが、2あります。ここで「正規ギルド承認」を取ると、攻城戦に参加して、エンペリウムを攻撃することが出来るようになります。
*3 セイフティウォール。物理攻撃の絶対防御魔法。ちなみに、エンジェリンには魔法がもともときかない。
*4 サイト。ハイド状態(姿を隠している状態)を解除するスキル。ダメージは受けない。(ルアフという同じようなスキルは、ダメージを受ける)
*5 ユピテルサンダー。雷の魔法。spitの得意技でやられる…
*6 チンピラ。中ボス。強い。痛い。ダメージ3割減少のエナジーコート状態でこれだけ食らうので、エナジーコートが無ければ即死する…
*7 ハエの羽根。同一マップ内の何処かに、ランダムでワープするアイテム。
*8 残念なことに、これくらいのロールバックは、結構よくあったりする…
*9 ハエ運良すぎ。
*10 SB。ソニックプロー。アサシンのスキル。8連続攻撃をする。
*11 バルダーサーバのこと。
*12 アイテムドロップの確率テーブルのこと。タイミング良すぎだし、しかも、別のサーバもこぞってスフィンクスダンジョンのあるサーバが落とされたので。
*13 ゲーム内でもいいから、告知しようよ…
*14 いろいろと今回のパッチで変更になったもののひとつに、SP回復式の変更があった。今まではintに依存して回復速度がかなり遅かったが、低intでもそれなりに回復する速度に変更された。
*15 spitはSP回復向上というスキルが10レベルあり、しかもintがかなりあるので、すごい勢いで回復する。LoVの詠唱とディレイ(魔法を使った後、魔法を使えない時間)の間に、使ったSPが全快してしまう。もはや、無限LoV。でも、個人的には回復しすぎで面白くない。