makie:「では、スピさんは、お父さん席へ。
と、言われて、スピットは小首を傾げました。
spit:「ここ?
makie:「です。
spit:「俺、お父さんじゃないぞ。
ここは一年中冬の町。
ルティエの教会です。
spit:「ケツの収まりがわりーな…
appi:「がまんです、スピさん。
もぞもぞと動くスピットの隣、アピがぽそりと言います。
壇上では、こほんと咳払いをして、槇恵さんが言っていました。
makie:「本日はご多忙の中、新郎リビアン、新婦シルフィーンの結婚式にご参列いただき、まことにありがとうございます。
spit:「俺がリビアン側のお父さん席なのはいかがか…
お尻を浮かせ、ぽりぽりと掻くスピット。
spit:「俺、お父さんじゃないし…
壇上の槇恵さんは続けます。
makie:「では、これからみなさんに…
makie:「
殺し合いをしてもらいます。
マテ。
makie:「と、言うのは冗談で…ただいまより、諸注意を行います。まずは、式場での飲食等は控え…
お前等、楽しいな。
makie:「では、新郎新婦の入場です!!
spit:「暖房もっと強くなんねぇのかな?
appi:「スピさん!
そしてドアの向こうから、新郎新婦が入場してきたのでした。
spit:「寒っ!?
makie:「スピさん!その席に座っているのですから、涙のひとつも流すところですよ!!
spit:「なんでよ…
と、夢さんは小さく咳払いをして、聖書を開きました。
DreamMaker:「最初に聖書の朗読を行います。
DreamMaker:「新約聖書コリント人への第一の手紙 第13章より…たといわたしが人々のことばや御使たちの言葉を語っても、もし愛がなければ、わたしはやかましい鐘や鐃鉢と同じである。
ノーカット完全版。*1
DreamMaker:「新郎、リビアン。
夢さんは聖書を手に、リビアンへと視線を向けます。
DreamMaker:「汝この女子を娶り、神の定めに従いて夫婦とならんとす。汝、その健やかなる時も、病める時も…
結構重要な気がしますね。
それはどうか。
DreamMaker:「これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、キャラリセットが2人を分かつときまで、生涯守り続けることを誓いますか?
応えるリビアンに、夢さんはシルさんに向き直ります。
DreamMaker:「新婦、シルフィーン。汝この男子に嫁ぎ、神の定めに従いて夫婦とならんとす。汝、その健やかなる時も、病める時も…
それは世間的には
誤爆といいます。
それは日記的には
誤爆といいます。
あれ?*2
DreamMaker:「これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、キャラリセットが2人を分かつときまで、生涯添い遂げる事を誓いますか?
DreamMaker:「それでは指輪の交換を行い、お二人の誓いの証として下さい。
そしてふたりは銀の指輪を交換しあいます。
ゆっくりとシルさんの左手の薬指に指輪をはめるリビアン。
返すように、リビアンの左手の薬指に指輪をはめるシルさん。
ちょっと豪華なハート。
*3
DreamMaker:「お二人の誓いが、世界中の皆様の前で、真実永久に守られますように、お祈りいたします。
聖書を閉じて、夢さんは言いました。
DreamMaker:「二人は今、神の御名において夫婦の誓いを立てましたことを宣言します。これからお二人は、共に力を合わせ、お互いを信じ辛い事や悲しい事が有った時も、いつも傍で支えあい いかなる困難をも乗り越えて下さい。
と、式場の皆が…
効果音が欲しいくらいの同時っぷり。*4
見えないのは仕様。
makie:「ではここで、スピットさんから祝辞をいただきたいと思います。
続いて祝辞です。
呼ばれて、スピットが前に出ます。
spit:「えー…
appi:「赤エモはダメですよ?
釘をさされました。
スピットは帽子をちょいと直して、続けました。
spit:「えー。リビアン、おめでとう。本日、このとてもめでたい日に…
spit:「
リビアンはともあれ。
heriosu:「要請キター!?
aoiruka:「しかも、いつの間にか騎士。
spit:「おめでとう。
主役を祝え。*5
spit:「えー、リビアンとの初めての出会いはそういえば…
ステキな思い出の数々ですな。
spit:「うらみつらみは数えあげればきりがないのですが…
数え上げるな。
spit:「まぁ、でも。
現金。
spit:「そんなこんなで、今日、シルさんをお嫁さんにもらったリビアンは、つまるところ…
spit:「みんなのアイドル、シルさんを奪った罪は重い!!死を保って償え!! ソウルスト…!!
makie:「ありがとうございましたー。
spit:「あああぁっ、まだ終わってないー!?
お前の人生が終わるぞ?*6
makie:「では、続きまして、ニルさんからも、祝辞を頂きたいと思います。
Nill Gram:「はい。
すっくと立ち上がり、前へ歩み出たのは、ギルド、RachetyRamblersのマスター、ニル師匠です。
ステキ。
Nill Gram:「二人の道行きの先に幸多からんことを。
アーメンと続けそうな勢いでニル師匠が短いスピーチを終えます。
makie:「では、続きまして、ロブさん、お願いします。
Rove:「はい。
と、次に前に出てきたのはリビアンの相方、ロブです。
Rove:「えー、ただいまご紹介に預かりました、Roveです。
ロブは皆に向かってゆっくりと話し出しました。
Rove:「彼とは、共にレベル上げに励んだ仲ですが、今でこそ、立派なプリーストとして活躍している彼も、当時始めたばかりのころは、右も左もわからない状況でした。
spit:「おもちゃに行った時は、すでに十分な連携が出来ていたような気もするが…
appi:「しかも、今ではリビアンさんとロブさんの方が、レベルが上ですしね。
spit:「うむー。
ロブは続けます。
Rove:「右も左もわからない彼でしたが、彼の成長にはこの俺も目を見張るものがあり、一次職転職のころには代えられない相棒となっていました。アコライトに関する、このような詩があります。
天災なのか!?*7
Rove:「害人ニモ夏ノ厨ニモマケヌ
丈夫ナココロヲモチ
欲ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニスワツテイル
一日ニブドウ二房ト
リンゴト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニイレズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
Furiae:「雨ニモ負ケズを覚えているのが凄い…
*8
appi:「あはは。
spit:「うむ…すごいな…
heriosu:「カンペあったりして。
Furiae:「ソレダ。
Rove:「山脈ノ大キナ花ノ陰ノ
小サナ屋根ヌケ山小屋ニイテ
東ニ瀕死ノ剣士アレバ
行ツテヒールシテヤリ
西ニ疲レタマジマレバ
行ツテソノ戦利品ノ束ヲ負ヒ
南ニカート商人アレバ
行ツテ速度増加シテヤリ
北ニケンカヤサラシアイガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイイ
SPギレノトキハナミダヲナガシ
パーティノイナイトキハオロオロアルキ
略されたー!?
Rove:「ソウイウアコニ
ワタシハ
ナリタイ
っていうか、あと3行だろ!?*9
Rove:「まさに彼はこのような聖職者になりました、シルさんも安心して任せられるというものです。おめでとうございます。
あと3行はー!?
makie:「では、最後にハヤテさんから祝辞を頂きたいと思います。
"hayate":「うむ。
spit:「よっ、神!!
Furiae:「べと神キター!!
こほむと咳払いをして、ハヤテさんは話しだしました。
普通だ!?
ことのほか、普通だ!?
しかも、詩的だ!?*10
ちょっと
ずれた!?*11
"hayate":「心より、お祝い申し上げます。
"hayate":「新婦、シルフィーンは、港と商人の街、アルベルタに生を受け、アルベルタの環境で育った甲斐もあり、社交性にあふれ、商才を伸ばして、そのまま順風満帆に商人となり、戦いに不慣れであるにも関わらず、無茶なベンチ前の吶喊ツアーに一生懸命あとをついて参加したシルフィーンも、ポーションの商いを営む中で薬学に目覚め、今や目覚しい学問の発展の一角を担う、立派な錬金術師となりました。
すごい、
なんでそんなにすらすらスピーチできるんですか!?
"hayate":「そうして、また、一人の女性としても立派に育ち、こうしてリビアンという一人の男性を受け容れるまでに成長していたことは、旧知の友人である私には驚きであったと同時に、大変喜ばしくありました。
spit:「みんな、真面目に祝辞してるなぁ…
appi:「ハヤテさんって大人です…
spit:「ああっ、アピの目が騙されてる目だ!?
aoiruka:「何やら凄いのぅ。
Furiae:「何処なの漏電魔導師とは大違いですね…
appi:「ですねぇ。
spit:「ああぁっ、女性陣から滅多にもらう事のない視線をもらっているハヤテさんが憎いッ!!
"hayate":「そんなお二人に、僭越ながら私…
ん?
"hayate":「既婚者ということで結婚の先輩として、お祝いを兼ねて、一つ訓辞じみたことを申し上げてみようかと思います。
aoiruka:「く、くるのか…
spit:「は、はたして…ッ!
ええぇぇぇぇええぇぇぇ!?
スイッチ、オン。
"hayate":「人が、この世に生を授かったばかりの頃、それは例えるなら、若草の上の朝露のように輝く、生成されたばかりのべと液。
綺麗なのか?
"hayate":「この時はまだ何一つ内包することなく、綺麗に澄み、そして外からのものを分け隔てることなく己に受け容れる存在です。
深いな…べと液…
"hayate":「そして人が己という存在を自覚し、世にでること。
"hayate":「母なる海の恵みをそれまでの時の中で一身に受け止め、成長し、また荒波に揉まれても決して拡散することなく、己という存在の張りを保ったまま、力強く大海を漂い続けます。
spit:「べと、すげぇ…
appi:「深い物語が…
Furiae:「なんと奥深い…
すみません、素直に感動している人たちがいます。
"hayate":「そして今日、ミドカルドという名の大海を漂い、プロンテラベンチ前という波間で巡り会った…
"hayate":「お互いを認め合い、そして1つになろうとしています。
spit:「ええ話や…
appi:「わ、笑い過ぎて涙が…
aoiruka:「涙の意味が違うような気が…
Furiae:「まさに、"hayate" on Stage…
"hayate":「この2つのべと液が、混じりあい、どのようなべと液へと変貌するか、また、新しいべと液が近い将来産まれ出ずるか、誰にも分かりません。
さすが神。
"hayate":「この2つのべと液は1つになることでより素敵なべと液へと昇華するでしょう。
makie:「私ら、べと液にみられてたんでしょうか…
Furiae:「むぅ…
appi:「そのようですね…
spit:「私はべと液になりたい…とすら、2秒くらい思ったけど、やっぱりいいや。
aoiruka:「べとはべとですしね…
"hayate":「誕生花は、『チューリップ』です。そしてその花言葉は、『永遠の愛情』。これがお二人のものになることを節に願いつつ、これをお祝いの言葉の結びとさせて頂きます。
軽く息を整え、ハヤテさんは笑って言いました。
Furiae:「見事に締めましたね。
makie:「すごい…
aoiruka:「すごいよ、神!
appi:「すごいです…
heriosu:「すげぇ…
一部から絶大な祝辞。
makie:「それでは、新郎新婦退場です。みなさま、中央によって、盛大な拍手で送り出してくださーい。
spit:「んじゃー、ここに輪になって並ぶか。
Furiae:「ですね。
makie:「雪が!雪が寒い!!
Sylphienne:「どういう風に撮りますか?
ribbean:「シルさんの好きなようにでいいよ〜。
Sylphienne:「えぇと…
"hayate":「あれー?雪が降ってるのに、なんか熱い気がするなー?
spit:「ああ、それは風邪かもしらない。
appi:「…スピさん。
Sylphienne:「えと、みなさんはどういう風に…
Furiae:「私たちは背景です。
"hayate":「気にせず。
ribbean:「へっくし!!
makie:「あ、リビさん落ちた。
Furiae:「mjsk!?
*12
spit:「mjmj。
*13
"hayate":「肩すかしうまいなぁ、新郎。
Nill Gram:「やるなぁ。
Sylphienne:「あぅあぅ…
mimihime:「ケイゴも落ちたけど…
quino:「ケイゴなんていたの?
*14
mimihime:「ひどい、私の大事な奴隷なのに…
spit:「それもどうよ。
ribbean:「この、原因不明エラーめ!!
spit:「あ、帰ってきた。
DreamMaker:「んじゃ、リビとん、合図よろしくー。
ribbean:「えーと、それじゃあ…角度OK?カメラ目線OK?
"hayate":「股間の貝殻もOKと。
spit:「それははずせ。
"hayate":「はずすの!?
spit:「いや、それもまずいか…
Furiae:「いろいろまずいような…
*15
ribbean:「それじゃ、いきまーす。
ribbean:「何!? なんでみんなエモないの!?
spit:「え?だって、背景だっていったじゃん。
Furiae:「ですよ?
ribbean:「恥ずかしいじゃんか!
Sylphienne:「(///)
spit:「え?でも、俺ら楽しいし。
ribbean:「SoSはあげたのではないのですが?
spit:「持ち物に名前。
ribbean:「うお!? ホントに名前書いてる!?
spit:「俺のモン〜。
Sylphienne:「では、ブーケを投げます〜。
spit:「よーし。
ribbean:「何故、スピさんが行く。
spit:「えー。
ribbean:「むしろ、アピさんに取って欲しい。
appi:「?
ribbean:「…
spit:「それは、『はい?』というギモンの目だ。
ribbean:「スピさん、行ってください…
spit:「よーし。
ribbean:「ブーケ取ったら、スピさん結婚ね。
spit:「HAHAHA、そんな不確定要素一杯の未来の事はわからない。
ribbean:「あ、この後どうします?
spit:「そんな先の事はわからない。
*16
ribbean:「…
spit:「でも、今、何をすべきかはわかっている。
ribbean:「なんです?
spit:「ともかく、全力でブーケを取る事…って、あああああああぁ!? もう投げてるよ!?
スピットは駆け出しながら、雪を手に取り、それを丸めてブーケを取った槇恵さんに向かって投げつけます。
makie:「いたっ!?
spit:「俺も混ぜろよ!!
Nill Gram:「スピさん、男性がブーケを取るのはどうかと…
"hayate":「だな。
spit:「おのれー!!
makie:「いたっ! おのれー!!
Furiae:「なに?雪合戦?
ribbean:「スピさん…
appi:「まぁまぁ、リビアンさん。
ribbean:「アピさん、スピさんあれじゃあ、大変でしょう…
appi:「そうですか?
ribbean:「あれじゃあ、けっこ…
言おうとしたリビアンの顔に、雪玉が当たりました。
ribbean:「おのれ…
appi:「あはは。
アピは笑って、言いました。
appi:「そんな先の事はわかりませんが、今するべき事は、わかったような気がします。
雪玉が飛び交うようになるのに、そう時間はかかりませんでした。