そんなわけで大聖堂。
プリースト転職場です。
suteinu:「いよーう、トーマス。プリーストになりたいんだー。
と、すていぬはトーマス司教に話しかけました。
トーマス:「そうですか…プリーストへの転職をお望みですか…神もあなたの決心を、心からお喜びになるでしょう。
アーメンと続けそうな勢いで、トーマス司教は言いました。
そして続けます。
トーマス:「プリーストへの転職を決心したのなら、まずはJob Lvが…
suteinu:「
以下略でお願いします。
トーマス:「…
makie:「さっそく破戒僧ですね。
ebu:「すていぬちゃん…
suteinu:「プリーストに、はやくなるんだー。
トーマス司教はこほむと咳払いをして続けました。
トーマス:「すていぬよ…
suteinu:「へい。
トーマス:「プリースト転職への試練を言い渡します。大変な試練で、苦痛を伴うと思いますが、乗り越えてください。
suteinu:「かなり嫌ですね…
Favnir:「転職試験は仕様です。
aoiruka:「プリの転職試験って、巡礼でしたっけ?
あおさんの台詞に、トーマス司教はうなずきました。
トーマス:「その後、退魔修練、奉仕の誓約を行って頂きます。
suteinu:「めんどくさー。
トーマス:「Job50にまで達したアコライトならば、巡礼はかまいませんが…
suteinu:「じゃー、退魔修練とやらから、お願いします。
トーマス:「…
makie:「Job50なの!?
Favnir:「偽物だ!?
aoiruka:「スピさんのペットとしては、あり得ないくらいの成長速度!?
suteinu:「なんだかよくわからないのですが、とりあえず限界まで上げてみたので、OKっぽいと思います!!
*2
トーマス:「…わかりました。では、退魔修練からはじめます。
トーマス司教は言いました。
青文字は本音!?
suteinu:「いぬつながりかよ!?
makie:「ああっ、若い子にはわからないネタかも!?
トーマス:「わからないでしょうね…
suteinu:makie:「トーマス、わかるの!?
*3
そんなこんなで。
タフな神父に説明を聞き、すていぬは退魔試験に挑みます。
ようは、出てくるアンデッドを退けて進めということらしいので…
ばこばこ浄化。
suteinu:「らくちんだなー。
ゾンビをヒール砲で蹴散らし、すていぬは次のマップへと進みます。
次のマップは、洞窟のようなマップでした。
ちょっと強そうな敵が出そうだと思いながら、てくてくと進んでいくと…
suteinu:「
勝てるかー!?
アコライトのすていぬには勝ち目がないモンスター、デビルチです。
が、デビルチに攻撃してくる気配はありません。
suteinu:「ノンアクティブなのかしら?
こそこそと、すていぬが脇を通り抜けようとすると…
suteinu:「外見の割に、可愛くないしゃべり方ですね!!
デビルチ:「うるせぇ、駄犬。
suteinu:「ムキー!!
腕を振り上げるすていぬに向かって、デビルチは言います。
デビルチ:「おい、駄犬。お前は、あえてこんな大変な道を進むのか?もっと他に、楽な職業もあったろう。
suteinu:「他の職業を知らないので、わかりません。
デビルチ:「支援なんてな、街でもダンジョンでも、お前に助けを求める奴ばかりだろ?ひとつも、お前のためにしてくれる事がないというのにな!! 『ヒールPlz』とか、『リザよろ』『IAよろ』とかな!!
suteinu:「いぬは、もともとひとりだったので、あまり気にしてません。それに、いぬはここまで、ソロで上げてきました。
デビルチ:「
え?
suteinu:「いぬは、公平パーティを組んだ事が、今まで、ただの一度もありません。
デビルチ:「マジで?
suteinu:「mjmj。
デビルチ:「お前、資料だと、job50なんだが…
suteinu:「いぬは、立派な支援ができるようになるまでは、公平パーティを組んで経験値をもらってはいけないのです。これも修行なのだと、ご主人さまが言っていました。
spit:「へっきし!!
appi:「スピさん、風邪ですか?
spit:「…これは…いぬが俺の噂をしているな。
appi:「わかるんですか?
spit:「彼奴、今日、転職とか言ってたからな…くそ…あのやろう…いぬの癖にレベル上がるの速すぎだ…支援だから、臨時に行くなと言えばなかなか上がるまいと思ったのに…どういう狩りしてんだ…もうjob50とか…
appi:「すていぬちゃん、がんばってましたからねー。
spit:「…俺よりレベル高くなったら、殺す。
suteinu:「そんなわけで、いぬは立派な支援プリにならなければいけないので、お話はまた今度ということで…
*4
てくてく、すていぬが通り過ぎようとしたときでした。
デビルチ:「ま、まてまて!!
デビルチが呼び止めます。
デビルチ:「よし、今転職を諦めれば、わしが良いものをお前にプレゼントしよう。お前が、一生に一度お目にかかれるかという代物だぞ。
ぴろっとデビルチがすていぬに見せたそれは…
suteinu:「
み、ミストレスカード!?
それは頭装備に指すカードで、そのカードを指した頭装備をしていると、ジェムストーンが必要な魔法を、ジェムストーンなしで使えるようになるという、ボス、ミストレスが落とす激レアカードです。
デビルチ:「ケケケ…どうだ、駄犬。欲しいだろう?
suteinu:「ぬぬぬ…すていぬ的には、ぜんっぜん欲しくないですが…
デビルチ:「ないのかよ!?
suteinu:「ただ…それがあれば…
suteinu:「ご主人さまのハットコレクションが、のこりあと1つになるので、
心が大ピンチです!!*5
ブルージェムストーンを消費せずに魔法が打てると言う事は、スピットがこのカードを持つと、無限にセイフティーウォールが打ち出す事ができるようになるという…
つまり、
物理攻撃完全無効化魔導師になれるのです。
suteinu:「むおぉぉぉぉぉお…
デビルチ:「ケケケ、どうだ、駄犬。
suteinu:「ご、ご主人さま…
spit:「ん?どうした、いぬ。
suteinu:「いぬがプリーストになるのと、ミストレスカードと、どっちが大事ですか?
spit:「ミストレスカード。
即答。
suteinu:「いぬは、プリーストになれなくなってしまうかも知れませんが…
spit:「じゃあ、お前はそのために冒険者になったんだ。うん。カードを俺によこせ。
suteinu:「ううう…わかりました…
すていぬはデビルチに向き直ると、ごくりとつばを飲み込んで…
appi:「スピさん、どうしました?
spit:「ん? いや、なんか、いぬがWis飛ばしてきて、ミストレスカードが欲しいかって聞いたから、欲しいっていっといた。なんだあいつ、もしかして、転職祝いでミストレスカードでももらったのか?
appi:「すていぬちゃんは…プリースト転職試験中なのですよね?
spit:「たぶんな。
appi:「…スピさん。
appi:「それはたぶん、退魔修練の試験です。拒否しなければいけないものです。
spit:「おおおぉう!? いぬ、ちょっとま…!!
suteinu:「…ください。
デビルチ:「キキキ。やはり人間よのう。
デビルチはにやりと笑って言いました。
ぐわんと景色が揺らいだかと思うと…
suteinu:「
むおおぉぉぉ!?
ミストレスマップに飛ばされました。
ポタ&ダッシュで大聖堂にすていぬは戻ります。
トーマス司教の前にいたみんなが、走ってきたすていぬに気づいて、
真実は言えない!!
suteinu:「いぬの心は、今、修羅です!!
タフな神父に、ふたたび退魔修練の部屋に送ってもらい…
suteinu:「うおおぉぉぉぉ!!
suteinu:「
悪魔め!!
すていぬのヒール砲がうなります。
suteinu:「
退きなさい!!*6
そして再び相まみえるは、デビルチ。
suteinu:「おのれ、デビルチ!!
デビルチ:「おっと、また来たか。カードは手に入ったか?
suteinu:「入るかー!!
デビルチ:「そうか、仕方がないな、じゃあ、今度こそ、本当にわしがお前にこれをやろう。
suteinu:「いらない!!
デビルチ:「ほう…おまえが自力でこんなカードを手に入れられるのか?
suteinu:「たぶん無理だけど…
デビルチ:「だろう。
suteinu:「だがッ!!
suteinu:「これが私の答えだー!!
デビルチ:「ぎゃあああぁぁ!?
suteinu:「私の心は、今は修羅!!
プリーストっぽくないがな。
奥に進むと、今度はドッペルゲンガーがいました。
suteinu:「あなたは、非常に運がよいです。
ドッペルゲンガー:「ほう…私の話を聞く準備はよいと言うわけだな。
suteinu:「もう、ばっちりです。
suteinu:「
お前の意志があるうちに退け。私の手を煩わせるな。
ドッペルゲンガー:「…ふ。
弱気!?
さらに奥に進むと、今度はダークロードです。
でも、すていぬにはそんなもの、目に入りません。速度増加ダッシュで駆け抜けていこうとするすていぬを、ダークロードが呼び止めます。
ダークロード:「帰るがよい。でなければ、私がお前を殺すであろう…
suteinu:「…殺す?
振り向かずに、すていぬは言いました。
suteinu:「それは命のやりとりをする気があるって事だな?
ダークロード:「ふん…強がりを言ったところで、お前など枯れ葉を揉むがごとく、こなごなに出来るぞ?
suteinu:「りんご…
ダークロード:「?
suteinu:「お前は、りんごだ。
ダークロード:「何を、わけのわからんことを…
suteinu:「枯れ葉よりは強く、歯茎くらいからなら、血を出す事はできるだろう…だが…
suteinu:「今の私なら、
握りつぶすくらいはたやすいが、試してみるか?
suteinu:「お前の芯と私の芯を一緒にするな。りんごの芯は捨てるだけだ。
ダークロード:「…次に私に会ったときは、必ず地獄を見せてやるぞ。
走っていくすていぬの背中に声が届きましたが、すていぬは振り返りませんでした。
そして最奥には、バフォメットがいたのでした。
バフォメット:「取引をしないか…?
suteinu:「取引?
バフォメット:「我はお前に、富と権力を授ける。一生の間に使い尽くすことのできぬ金…人間には作れぬ武器…
suteinu:「ふん…興味がないな…
バフォメット:「そしてお前が望めば、いつでも我を召還する事が出来る。皆はお前と敵対する事を恐れ、やがてひれ伏すだろう…
suteinu:「ほう…そいつは魅惑的な話だ。
バフォメット:「さあ、プリーストへの転職を諦め、我と契約を結ぼうぞ!!
suteinu:「だが、お前は馬鹿だ。
バフォメット:「なに?
suteinu:「私の答えはシンプルだ。プリーストにはなる。だが、残りは…
suteinu:「
>ころしてでも うばいとる。*7
バフォメット:「…いいだろう。
suteinu:「望むところだッ!!
レッツ、バトル!!
suteinu:「かかってこいやー!!
ヒール砲で次々とバフォメットが用意したというモンスターを、すていぬは破壊していきます。
suteinu:「どうした、この程度か!私をあまりなめるんじゃないぞ!! この程度の敵…
と、最後の一体に向かってヒールを唱えようとした時…
ぱすん…
suteinu:「…
suteinu:「すんません!いぬ、転職の回だからって、調子乗ってました!! マジすんません!!もうしません!!
suteinu:「たーすけーてくれー!!
いぬ、ひとつおりこうになる。
suteinu:「あ、SP回復した。これで最後だぁぁぁ!!
ばしんっと、アンデッドはすていぬのヒールに崩れ落ちました。
すていぬが戻ってくると、待っていたみんなが「おお」とどよめきました。
suteinu:「退魔修練、完了しますた!!
トーマス:「では、最後にセシル修道女の所に行き、誓約を行いなさい。
suteinu:「どこだ、セシルさんー!!
セシル:「はい、ここに。
suteinu:「同じ部屋かよ!?
セシル:「それでは、ただいまより、誓約式を始めたいと思います。
suteinu:「
すべてはい。
セシル:「すていぬさん?
suteinu:「ジョークです。
セシル:「あなたは、残りの人生を神のために捧げる事ができますか?
suteinu:「…
brid:「はいと答えておくべき場所です。
suteinu:「おお、ブリとん。いつのまに…
brid:「ちょうど、自分も転職しようと思っていたところで…
suteinu:「試験は?
brid:「終わっています。あとは転職するだけで。
suteinu:「おお、同期生かー。
セシル:「すていぬさん?
suteinu:「あ、はい。
セシル:「あなたは、戦闘で苦しんでいる他人を、自分の能力で助けようとしますか?
suteinu:「あ、今の『はい』は、呼ばれたからの『はい』だったんだけど…
brid:「仕える気はない…と。
セシル:「すていぬさん?
suteinu:「あ、はい。あ、今の『はい』は『はい』の『はい』でいいです。
セシル:「…言葉は正しく使いましょうね?
suteinu:「誤字には気をつけたいと思います。
セシル:「では…
ゆっくりと、修道女セシルは言いました。
セシル:「あなたは信義の道を貫き、信義のために死ぬ事ができますか?
suteinu:「…うーん。
すていぬはちょっと考えて、言いました。
suteinu:「信義の定義にもよります。
セシル:「…と、いうと?
suteinu:「教義はよくわからないので、信義が教義を指すのなら、『はい』とは言えないのですが、信を守り義を行うこと…心を欺かないことという意味でなら、『はい』です。
すていぬの答えに、セシルは少し首を傾げて聞き返しました。
セシル:「では、あなたの心にある、信とは、なんですか?
suteinu:「すていぬは、ベンチに拾われたので、ベンチを支援するのです。
すていぬはセシルに向かって、笑います。
suteinu:「冒険者は、冒険者として心に何かを決めた時に、初めて冒険者になるのだと、ご主人さまが言っていました。だから、すていぬは支援をすると決めたのです。
suteinu:「それは、ご主人さまに拾われた時に、冒険者となったときに、心に決めた事なのです。
セシル:「すていぬさん…
suteinu:「はい。
セシル:「あなたの誓約を受けました。
suteinu:「あ、それでよかったのですか。
セシル:「そして、最後に…
セシルはそっと、言います。
それは、彼女が迷いなく答えることをわかってです。
セシル:「あなたはこれまで述べた事を、すべて誓えますか?
suteinu:「はい。もう、ばっちりです。
トーマス:「準備はできましたか?
トーマス司教が言います。
suteinu:「いぬは、いつでもばっちりです。
brid:「すすす…
トーマス:「君も、準備はいいようだね。
brid:「こっそり便乗。
トーマス:「では…
そっと目を閉じて、トーマス司教は聖書に手をおきました。
そして優しい光が、アコライトたちの身体を包みました。
その光の中、アコライトたちの姿が、プリーストのそれに変わりました。
待った分だけ、壮大。
suteinu:「なんだかもー、えらいこっちゃですよー。
Kagetsuki:「ふう、スッキリ。
ebu:「満足。
Favnir:「さて…それじゃ…
ファブが言いました。
Favnir:「
どこで死にたい?
そんなこんなで…
時計塔4F。
suteinu:「うおおぉ、いきなりハイレベル支援を要求されている感じがぎゅんぎゅんします!!
brid:「ぎゃああああぁぁ。
suteinu:「誰か死んだ!?
Favnir:「初死体だ!!
ebu:「なむなむ…
suteinu:「ふめー!!
aoiruka:「ふみふみ。
Favnir:「うおおぉ、踏めん!!
MilliaDream:「いぬー、起こしてあげなさい。
suteinu:「はっ、そうか、私はプリースト!!
makie:「リザあるの?
suteinu:「あるよー。
てくてくとすていぬはブリッドの所にまで歩いていくと…
suteinu:「
リザレクション!!
MilliaDream:「
マテ。
brid:「今、詠唱がなかったような…
makie:「な、なんだってー!?
無詠唱リザレクション。
それはリザレクション
Lv4です。
suteinu:「とりあえず、何を取ればいいのかわからないので、ベンチ的に一番大事っぽい、リザを4にしてみましたー。
ebu:「ぱちぱちー。
aoiruka:「無詠唱、ばんざーい。
suteinu:「まさに、ベンチ専用って感じですね!!
死んでも即復活。
一行は時計塔4Fで狩りを続けます。
suteinu:「人数、多いぞー!?
suteinu:「誰がどこにいるのか、よくわからないぞー!?
教訓。
ベンチの支援は大変。
suteinu:「うわ、人のHPを見ていたら、自分が死にそうに!?
Kagetsuki:「わはー、死んだー。
suteinu:「って、一撃かい!?
quino:「キター!!
suteinu:「って、、やる気マンマンに突っ込んでくのですか!キノー!?
そんなこんなを1時間ばかり続けていくと、少しずつ人も減ってきて、すていぬもだんだんと慣れてきました。
ふと、林檎が言いました。
ringo:「今、気づいた。
そういえば、死んでません!!
すていぬは、「いやいやいや」と首を振りながら言いました。
suteinu:「いぬは支援なので、そう簡単には死ねません。
Favnir:「突貫要員としては、よろしくない心がけ。
suteinu:「いやいやいや。
すていぬは言いました。
suteinu:「すていぬは、みなさんを華麗に支援するのです。
MilliaDream:「華麗?
suteinu:「ええ、そうです。華麗に支援するのです。
言いながら、すていぬは林檎の近くに寄っていき、ブレスと速度増加、そして覚え立てのキリエエレイソンをかけました。
suteinu:「あなたを支援します。
ringo:「む…支援されてしまった。
そしてすていぬは、にっこり笑って言いました。
suteinu:「そして、あなたを華麗に…
皆に向かってブレスと速度増加。
そして…台詞の最後を、微笑みと共に言いました。
suteinu:「あなたを華麗に…
suteinu:「
死なせます。
一斉に皆がすていぬに向かって振り向きます。
すていぬは笑いながら「ジョークですよー」と言おうとして、皆が凍り付いているのを見ました。
suteinu:「…
華麗だ!?
MilliaDream:「うわ、こっち来た!?
quino:「しまったー!? せっかくいぬが死んだのに、踏みにいけない!?
makie:「本キター!?
そして…
華麗に全滅。
今ここに、新たな支援プリーストがデビューしたのでした。
*8