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「やめて!そんなことしたら危険だわ!!」
「大丈夫、コレは僕にしか出来ないことなんだ!!」
そう、確かに僕にしか出来ない。
唯一無二の能力者。世界の反逆者。定理の破壊者。
……魔法猫。
生まれたときから悪ガキで15で不良と呼ばれたりもしたけれど(猫年齢)、僕が自分のその力に気づいたのはいつのことだっただろう。
恐れられたこともあった、不当に排斥されたこともあった…。勿論、讃えられたこともあったけれど…。
そんな僕にずっとついてきてくれた、猫なのに家に着かずに僕についてきてくれた…君に、僕はこんなことしかしてあげられないから!
に"ゃあああああああああああああ
ゆっくりと息を吸い込むとともに、おなかの毛がざわざわとはためく。猫特有の柔らかい筋肉がしなり、吸い込まれた空気がおなかを膨らませる。
前足を広げ天に突き出す。まるで人のように2本足で立ち上がり…、
……その力を解放する。
ぱりぱりと音を立て、少しずつ毛が逆立っていくとともに、僕の体が浮き始める。
彼女は…、もう何も言わずじっと僕を見つめる。声を発して、僕を危険に晒したくないから…。
特定の泣き声を発する意外には不向きの喉が鳴る。それは韻律となって空気を震わせ、想いが……姿を変え、力となる。
われらがせかいのやおよろず
なんじがくれたわがなまえは13「われはそれをはずれとよんだ」
われらにくれたそのなまえは13「われらはそれをあたりとよんだ」
われらはそのなんでもない13にかんしゃする
われはそのなんでもない13をこうしする
僕は世界に反逆する。
世の中のルールなんて要らない。
さぁ、わらいたくばわらえ!
わがなは13というなのはずれである!
われらのじゃまをするな!じゃまをしていいのは「われら」だけだ!!
「さぁ、ぶち壊せ『自由で不幸な数字』!!!」
すでに、身の丈よりも浮き上がったその身体から力を解放する。
目の前の邪魔な壁をぶち壊し、中に隠れていたそれをぶちまけ、その中身を引きずり出すように力を行使する。
コワセ、コワセ、コワセ、コワセコワセコワセコワセコワセコワセ…
「もういい!やめてぇぇぇぇ!!!」
彼女の声で、僕の力が止まる。
目の前には壊された木製の扉と、引きずり出された紙袋と…いくつかの壊された猫缶。
「これ以上やったら、あなたは…あなたはっ!」
「ん、ゴメン。ありがとう」
僕は彼女と一緒に壊された猫缶から床にぶちまけられたマグロを彼女とおいしくいただいた。
そして…、帰ってきたご主人様にたっぷりと絞られて…
…ちょっぴり泣いた。