studio Odyssey



七夕

Written by : Hraes

 今日は七夕とか言う日らしい。
何でも働き者だった織姫と彦星とか言う奴らが結婚した途端、イチャイチャ始めやがって
全然仕事をしなくなっちまったそうだ。 ───ふん、バカップルめ。
で、それに怒ったお偉いさんが二人を離れ離れにしちまったんだとさ。 ───ざまぁねえな。
 とは言え、何時までも離れ離れのままじゃ可哀相だってことで、一年間真面目に働けば
年に一度だけ二人を会えるようにしたって訳だ。 ───アメとムチって奴か?

 まぁ、それが今日ってことだな。全く、恋だの愛だの絡むとロクな事にならない見本だな。

 おっと、別に僻んでる訳じゃないんだぜ? ……ただホンの数年、恋人が居ないだけだ。
大体、そんな日でも子供たちが薄っぺらい紙に何か書いて、ひょろっとした木に括りつけてる
だけじゃないか。織姫と彦星とやらにそれがどう繋がるんだ?
 聞いた話だと願い事を書くらしいが、そんな紙に書くだけで願いが叶うってんなら俺も
是非ともあやかりたいもんだね。

 ま、ぐちぐち言っても俺には関係の無いことさね。 おっと、もうこんな時間か。毛繕いも
終わったことだし、明日も早い。今日はもう寝るとするか。
 明日の集会は新顔が来るらしいがどんな奴かな ……そんなことを考えながら俺は空に輝く
"アマノガワ"とやらを見上げた後、毛布の上で丸くなった。


author:
Hraes
URI
http://www.studio-odyssey.net/thcarnival/x05/x0503.htm