よ…よしっ。
と、その子は拳を握りしめて、そのベンチにいた人たちに向かって、声をかけました。
「すみま…
いきなり焼くか!?
aoiruka:「クレバース先生、やっちゃってください!!
大歓迎ですね。
suteinu:「ヒデェヨ…
Cleverse:「だって、可愛くないしー。
heriosu:「悪即斬。
aoiruka:「髪型、同じなんですねぇ…
*2
suteinu:「あうあう…
ノービスの女の子は半泣きです。
とりあえず、このベンチに行ってみなさいと言われて、来てみたものの…
suteinu:「ああぁ…ルキノっち…ここの人たちは、ステキに私を虐めます…
jellicia:「でも、捨てられたままなら、
この中の誰かが拾ってたんだけど。
suteinu:「…
suteinu:「初登場の方を
紹介ついでに状況説明ですか。
黙れ、いぬ。*3
suteinu:「そ、そんなわけで…
ノービスの女の子は言います。
suteinu:「なんだかよくわからないうちに、『すていぬ』と名付けられました。すていぬです。
Cleverse:「説明が、ものすごくよくわからない。
aoiruka:「まぁ、ポリンがアルケミストになるベンチですから。
heriosu:「すていぬが冒険者になるくらいは、わけないですか。
suteinu:「なんだか、
すごい勢いで順応していく方々に、びっくりな感じです。
ともあれ…
このベンチに来た理由は、他でもありません。
ふと気がつくと、いつの間にか人間になっていたすていぬ。
どうしたモノかと考えていると、
たまたま通りがかったセージのルキノという女の子が、教えてくれたのです。
「プロンテラのポタ広場ってとこにある、ベンチに行きなさい。話は通しておいてあげるから。
「わ、わかりましたっ。
で。
suteinu:「よくわかりませんが、倒しまくればいいのですね!
ぺちぺちと、ポリンだとか、ドラップス、ポポリンという名前のモンスターを、すていぬは叩きます。
jeyad:「で、いぬは何になるの?
と、J。
suteinu:「はい?
すていぬは首を傾げます。
jeyad:「いや、だから、ノービスから転職して、何になるのかと…
suteinu:「何がですか?
heriosu:「ノービスを卒業したら、剣士とかアコライトとか、マジシャンとかになって…
suteinu:「そうなのですか?
よくはわかりませんでしたが、すていぬは言いました。
suteinu:「それになったら、すていぬはご飯をちゃんともらえるようになるのでしょうか?
jeyad:「えーと…
heriosu:「まぁ、アコとかになって、支援をすればもしかしたら…
suteinu:「おお!
jeyad:「ああ…ベンチは確かにアコプリ不足だから、支援がいれば、結構嬉しいかも…
heriosu:「ですねぇ。
suteinu:「おお! ならば、すていぬは決めました!
むんっと胸を張って、すていぬは言いました。
進路決定。
suteinu:「これで、明日から
ご飯に困りません。
単純な行動理念。*4
程なくして、転職可能なJobレベル10になったすていぬ。
一行はアコライト転職のために、プロンテラ大聖堂へと向かいます。
どうでもいいですが…
イマイチ、キャラがつかめていないようです。*5
jellicia:「そして、誰にも拾われないというオチ。
suteinu:「な、なんですと!?
さて、ともあれ、すていぬはアコライト転職のため、マルシス神父に話しかけました。
suteinu:「アコライトになりたいのです。
マルシス神父:「いいでしょう、すていぬ。貴方のアコライト転職申請を受託します。
suteinu:「おお。
マルシス神父:「しかし、貴方は神のしもべになるために、ある修行をしなければなりません…
suteinu:「修行ですか?
マルシス神父:「そうです。貴方は…
suteinu:「
でで。
マルシス神父:「…
jellicia:「なんと!
jellicia:heriosu:「
誤字神さまの洗礼なのか!?
今明かされる、神々の真実。
*6
マルシス神父:「早く行ってきなさい。
suteinu:「ほーい。
そんなこんなで。
カプラサービスでショートカット。
heriosu:「成り立て冒険者とは思えない手際のよさ!
jellicia:「よさ!!
suteinu:「気にしてはいけません!!
モロクにたどり着いた一行が目指すのは、マチルダシスターの修行している場所です。
はい、そこ!
深く突っ込まない!!
なんなく終了。
suteinu:「では、プロに戻りまするー。
帰りも
当然のように、カプラ。*7
マルシス神父:「おや、ちゃんと修行を終えてきましたね?
大聖堂に戻ったすていぬに、マルシス神父が言いました。
マルシス神父:「
やけに早かった気もしますが?
suteinu:「元いぬなので、足が速いのです。
マルシス神父:「…
suteinu:「ともあれ、アコライトになりたいのです!
すていぬは言いました。
マルシス神父:「
…
jellicia:「…
そう言う問題でもないような…
こほむ、マルシス神父は小さく咳払いをし、祈りの言葉をつぶやきました。
すると、ぽっとすていぬの身体が輝いたかと思うと…その姿がアコライトのそれに変わったのでした。
まぁ、
当然のように見えませんが。
heriosu:「おめでとー。
suteinu:「ありー。
jellicia:「よーし、いぬのひと。
suteinu:「?
拉致られるいぬ。
suteinu:「おおぅ!?
jellicia:「今日から、いぬの人も、このPresent For Youギルドの一員だー。
suteinu:「が、がんばりまっす!!
jellicia:「うむー。
ふと、その二人のやりとりを聞いていたヘリオスが、ぽつりと言いました。
heriosu:「Present For Youって、何かあげるの?
suteinu:「?
jellicia:「告知参照。
suteinu:「?
suteinu:「
≧w≦)b
jellicia:「
d(≧w≦
heriosu:「どういうギルドだ…
suteinu:「すていぬ的には、ご飯さえもらえれば、誰にもらわれても無問題です。
*8
そしてベンチ。
すていぬが座って、「誰かくるかなー」と待っていると、いつものベンチのみんながやってきました。
makie:「いぬー!?
suteinu:「くーんくーん。
PURE:「すていぬー!?
makie:「OKOK。よーし、わかった。
makie:「
今日からキミは、シシマルだ。
ちなみに、
食べ物は矢印。
suteinu:「誰かは存じませんが、初登場らしき、プレさん、ありがとうございます。
PURE:「説明的だなァ…
makie:「ほーれ、シシマル、お食べ。
suteinu:「すていぬはチクワが好きだったりはしません。
*9
makie:「いいから、食え。
suteinu:「…ご、ごめんなさい。ぱく。
suteinu:「…
PURE:「やはり、まずかったのか…
suteinu:「ぇぅぇぅ…
そんなこんなで、ベンチのみんなが次々とやってきて、すていぬを虐めていきました。
初めのうちはすていぬもどうしたモノかと思っていたのですが、みんなと遊んでいるうちに、だんだんと楽しくなってきていたのでした。
そしてやがて…
プロンテラの街並みを、夕陽が照らし出し始めました。
suteinu:「…
すていぬはきょろきょろと辺りを見回します。
近づく夜が来る前に、家路に急ぐ人たちが見えました。
ただ、それだけが見えました。
ベンチを取り囲んでいた皆はもう、家路について、いなくなってしまっていたのです。
suteinu:「…
すていぬはもう一度、くるりと辺りを見回しました。
でも、すていぬに振り向いてくれる人はいません。
ぐぅと、お腹が鳴ったような気がしました。
そういえば、今日は朝から何も食べていません。ポリンを狩ったときに手に入れたアイテムを見てみると、ぴかぴか光る石がありました。かじってみましたが、やはりそれは美味しくありません。
suteinu:「…うぅ。
すていぬは小さく言って、うつむきました。
お腹が減りました。
アコライトになったら、ご飯がもらえると聞いてアコライトになったのに、お腹と背中がくっつきそうです。さっき食べた変なモノも、こんなんだったら残しておけばよかったかもとちょっと思い、手にしたぴかぴか光る石を見ます。
と、ふいに声をかけられました。
「ゼロピーは、焼いた方が美味しいです。
「いやマテ。そもそもゼロピーは人間の食い物じゃねぇ。
*10
声に顔を上げると、木製のカートを引いた赤い髪の女の子と、帽子を被った翡翠色の髪の魔導師がそこにいました。
「で。
と、魔導師は頭の帽子をちょいと直して言います。
「そこは、俺の特等席なわけだが、オメーは何者だ?
suteinu:「…すていぬです。
「…
「ご主人さま!これはご主人さまが見捨てた、すていぬの呪いかも知れません!!
「なんだ、人間になって、復讐でもしに来たってのか?
「ですよ!
「アホか…
「でも、ポリンだって人間になれる時代です!!
「ああ、世も末か…
魔導師がふぅとため息を吐きました。
と、それをかき消すように、「ぐぅ」とすていぬのお腹が鳴りました。
suteinu:「あ…
「…スゲー音だな。
「お腹が空いているのですか?
suteinu:「うぅ…
「しょうがねぇ、いぬだな。
魔導師は軽く舌を打ちました。
すていぬはしゅんとうつむき、言いました。
suteinu:「拾ってください…
「…俺が?
suteinu:「ぷれれんと、ふぉーゆーです…
「いらん。そしてそれは、プレゼントと読むんだ。覚えておけ。
suteinu:「…うぅ。
「ったく…」と、魔導師は道具袋の中をあさりました。しかし、お腹を満たすようなものはなかったのでしょう。
仕方がなく、というように、中から林檎ジュースを取り出すと、ぽいとそれをすていぬに向かって投げました。
「とりあえず飲め。腹の虫を鳴らしたままの奴を、酒場に連れて行く気にゃなれん。
そして、てくてくと歩き出しました。
suteinu:「…?
小首を傾げるすていぬに、赤い髪の女の子が言いました。
「さー、いきましょー。
suteinu:「どこへいくのです?
「酒場です。みんなで一緒に、ご飯を食べるのです。
suteinu:「すていぬも、ついていっていいのですか?
その問いに、魔導師は歩みを止め、けだるそうに振り返りながら言いました。
「つーか、ベンチで餓死されたら、こっちの寝覚めがわりぃ。いいからついてこい。いぬ。
suteinu:「あ、ありがとうございます!
だっと立ち上がり、すていぬは転がるように走り出しました。
その後ろ姿を、赤い髪の女の子はにやりと笑いながら、見ていました。
「ふふふ…完璧な作戦です。ルキノっち!
「おい、へっぽこ!行くぞ!!
魔導師が彼女に向かって言いました。
「あー、今行きます!待ってください、ご主人さまー!!
だから、その魔導師のつぶやきは、彼女には聞こえなかったのでした。
聞こえたすていぬだけが、少し、首を傾げたのでした。
「結局、食い扶持を増やされるのか、俺は…
suteinu:「?
「アコライトになったつーから、拾ってやるんだ。その分、冒険の時にゃ、恩返ししやがれよ、いぬ。
けっと悪態をついて、魔導師は帽子を直しました。
酒場には、昼間にあったみんなの姿がありました。
けれど、誰もすていぬを見ると、魔導師に向かって、「あれー?その子どうしたんですかー?」「またナンパですか?」「さすがですね」「アコさん、お名前はー?」と聞いてきます。
すていぬには、なんだかよくわかりません。
でも、魔導師がちょいと帽子を直して、
「白々しい奴らめ。
と、つぶやいたのだけが、聞こえました。