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居酒屋で過ごす年末。
気の合う仲間と飲んで過ごす――もうかれこれ数年は続いているいつもの年越し、そろそろ三十路に差しかかろうというのに彼女の一人もいない奴らばかり。
しかし今年は一味違う奴がいた。
「あのさ―――」
向かいのボウズ頭が口を開く。
「おれ、神様になったみたいなんだ・・・」
一瞬頭がクラッと来た。
どうやら飲みすぎたらしい。
「あ?神様、はいはい。お前飲みすぎな。」
「あ、信じてないな?」
「じゃあ何の神様よ?」
「いやあ、昨日の夜なったばっかりだからわかんね。おまえわかる?」
「わかるわけねぇだろ」
ガタン、ガタン、ガタン!
椅子を引きずってなにかがやって来た。
みればこの居酒屋の対象の息子じゃないか。
「おいおい、お前らいま神様の話してたよな?」
嫌な予感がする。
「いいセミナーがあるんだぜ!一緒に出ない?」
かけている眼鏡をぬぐう。
おかしいな?目の前の風景が歪みっぱなしだ。
あれ?オレ泣いてる?
なみだが止まらない、オレの周りはバカばっかりだ。
「お、カウンターのあの子かわいくね?」
「ラヴだな」
「おうよ、店に入ってからずっとだぜ!」
「しってるか?この店で一番高い酒頼んでから告白すると、その恋は絶対に実るって。」
「マジか!!大将、一番高いお酒ちょうだい!」
ああ、もう数秒で歳が明けるなぁ。
「おし、キメポーズで告白して来いボウズ頭!ラブな力を込めてポーズを決めるんだぞ。掛け声なんかもあったほうがいいかもしれん。」
「よしきた、バルパンサーなら得意だ」
「掛け声何にしようか?」
「んーそうだなぁ」
「おい、眼鏡お前何が良いと思うよ?」
もう嫌だ、帰って親にでも顔を見せに行こう・・・
「オイってばおーい!」
くそ、やってられねえ、いい歳こいて何ほざいてやがるこいつら――いい歳?
「あー・・神様で中年だからかみちゅでいんでね?」
もうわけがわからん、生まれてきてごめんなさい。