studio Odyssey



maid

Written by : hiyamizu

私はずっと頑張ってきた・・・
ご主人様に買っていただいた日から精一杯努力してきた。
でも、それもそろそろ限界らしい。

この前ご主人様は住居を移された。
なんでも仕事の都合らしい。
たくさんの人たちが解雇される中、幸運にも私は何とか職務を継続することを許された。
でも、聞いてしまったのだ。
私の変わりに新しい人を雇うという話を。

 確かに私はうっかりしたミスが多いし、仕事も早いとは言えない。
大事な書類を失くしてしまったこともあるかもしれない。
ご主人様がほかのメイドをおしおきしている時にもうっかり道具を落してしまったこともある。
仕事量の膨大さに固まってしまうこともある。
さっきもご主人様の机の上には物はほとんど置いていないはずだが、書き物ができないとぼやいていらっしゃった。
でも、頑張ってやってきた。
ご主人様もダメな子ほど可愛いといいながら、なんかんだと使ってくれた。
私はご主人様が私の仕事をみながら麦酒をのんで上機嫌な顔をしているのを見るのが好きだった。
それもそろそろ終わりらしい。
たしかに私はもう古いのかもしれない。
 このあたりでしっかりした人に職務を譲るのがいいのだろう。
職務を譲るという事は、私たちにとっては売られるという事なのだ。
だれか別の人に譲られるのならまだ救いがある。
いらなくなった子を知人に譲り渡したという話を聞かないこともない。
だが、それと同じくらい解体されたという話も聞く。
体のなかのパーツを使えるところだけ抜き出して足りない人に入れるのだそうだ。
それはすなわちもう動けなくなる事を示す。
それはなんだかさみしい。

せめてこの仕事の苦手な性格をかえればまだ使ってもらえないだろうか?

性格を変えると色々と忘れてしまうので大変な事らしいのだが、それでも使われなくなるよりはいいかもしれない。
願わくば末長くつかっていただけることを。


author:
hiyamizu
URI
http://www.studio-odyssey.net/thcarnival/x04/x0400.htm
website:
http://www.h7.dion.ne.jp/~w.line/TOP.htm
author's comment:
 Meeeeeeeeeeeeeeeeee!!
member's comment:
<u-1> 書いてる最中に出されても、批評できぬw